【IR福岡誘致開発特別連載65】IR大阪のオリックスとMGM、エクイティは各2,700億円規模に
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オリックスはこのほど、共同提案者のMGMリゾーツ・インターナショナルと同額の最大約2,700億円のエクイティ出資を予定していると発表した。
エクイティ出資の構成はMGM40%、オリックス40%で、残りの20%が関西電力や大阪ガスなどの地元企業。総事業費は約1兆800億円に上り、その半分以上をノンリコースローン(プロジェクトファイナンスと呼ばれる借入金)で賄う予定だ。
集客計画については、今回の世界的なコロナ禍を踏まえ、「日本人客だけで採算が取れる」計画を立てたと説明した。
具体的で実行性をともなうコンソーシアム(開発運営事業母体)の組織で、RFP(提案依頼書)確定後の計画である。これらは、大阪市を中心に後背地人口が多い神戸市や京都市などを含む関西都市圏の存在を前提として成り立つ事業計画と言える。
菅前政権と岸田政権がいう“IRは海外観光客誘致、インバウンドには欠かせないもの"は間違いではないが、不可欠ではなく、米国系IR企業を誘致するための方便だ。後背地人口が少ない地方の中規模都市では採算性が合わない。
IR長崎とIR和歌山は前政権に振り回された
IR大阪が唯一、政府指導によるIR事業の「コンソーシアムの組織組成」である。巨額な事業費を誰がどう負担するのか、財源となるエクイティや借入金の総額はどの程度か、などの明確化が重要となる。これらは通常のビジネスでも当然の話だ。
一方、IR長崎では、コンソーシアムの組織組成と事業費の負担者がいまだにはっきりしていない。行政が選抜したカジノ・オーストリア・インターナショナル・ジャパン1社では、同社の企業規模を考えると、総事業費3,500億円を賄えるとは思えない。
では、IR大阪のオリックスのような国内メジャー企業が現れるのだろうか。さらに、プロジェクトファイナンス(借入金)を受けるための事業規模と集客計画に信頼性があるのかといった点で、具体的な裏付けはない。
IR大阪でさえも、コロナ禍を経験したことで、日本人客を主体とした計画に切り替えたのだ。これに対して、IR長崎もIR和歌山もIR誘致開発事業の基本条件となる後背地人口が少なく、海外観光客主体の集客計画もすでに崩壊している。
IR大阪と肩を並べる可能性があるのは、近く表舞台に登場すると見込まれる福岡市都市圏を中心とした米国系IR企業のグループだと考えられる。
IR長崎は前述のような組織組成を行うことなどが不可能とみられ、税金の無駄使いを避けるためにも速やかに取り止める必要がある。
【青木 義彦】
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