持続可能なまちづくりに向けて 加速度的に進む福岡都心部の再開発
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(株)第一ゼネラルサービス
代表取締役 吉田 邦宏 氏変革期を迎えたまちづくり
容積率の規制緩和などによって、付加価値の高い先進的なビルへの建替えを促す「天神ビッグバン」と「博多コネクティッド」。福岡市主導で進む両プロジェクトによって、福岡都心部のまちづくりは変革期を迎えている。この絶好の機会を生かし切るために、プラスアルファで必要なことはないだろうか。
交通から不動産まで、さまざまな事業を通じて人々の暮らしを支える総合生活産業を展開する第一交通産業グループ。今回、同グループのファイナンス事業を担い、地場マンションデベロッパーを中心とした不動産担保融資を主軸にまちづくりを支援する、(株)第一ゼネラルサービスの吉田邦宏代表に話を聞いた。
容積率の緩和によって、ビルやマンションの高層化、設備のハイグレード化が進めば、開発業者に利益をもたらすだけでなく、国内外からの投資誘致、企業集積を促すことが可能となり、都市の活性化につなげられる。既存建築物の建替え促進にもなる。しかし、建替えが進むほど顕在化するのが、立退き問題だ。
「賃借契約において、賃借人(借主)の権利が強すぎると感じています。極端な話ですが、5年しか借りていないのに、家賃10年分相当額を立退き料として求められるなど、所有者にとって建替えの妨げになるケースも考えられます。立ち退き交渉は場合によっては裁判にまで発展し、長期化することも珍しくありません。借地借家法の緩和は、まちづくりのさらなる活性化に必要な、選択肢の1つだと思われます」(吉田代表)。
持続可能なまちづくりに、建築物の機能更新は欠かせない。高水準の物件への転換が進むことで資産価値の向上が見込めれば、投資への機運も高まるはずだ。
旧耐震基準の建築物への対応
福岡市では現在、市営住宅の建替えを進めている。高度経済成長期に人口増への対応を目的に大量供給され、築40年を優に超えている物件が多いため、耐震性の強化などが不可欠となっているのだ。これは民間供給のマンションも同じだ。
「旧耐震基準で建築されたマンションは、安全面からも建替えが必要だと思います。築40年以上経過した物件は、耐震性はもちろん、バリアフリー化など利便性の向上も不可欠でしょう。天神、博多エリアにおける容積率の緩和という措置は、建替えを後押しするものです。ただ、旧耐震基準の物件は両エリア以外にも点在していますので、広く福岡都市圏に同様の特例を付与することで、福岡全体で安心・安全なまちづくりを進めていければと思います」(吉田代表)。
開発用地が不足している現状で、建替えはまちの新陳代謝向上のためにも重要となる。そして、容積率の緩和などの特例を広範囲に適用できれば、福岡のまちはよりダイナミックに生まれ変われる。持続可能なまちづくりの実現のためにも、まずは官主導による需要創出が求められる。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:吉田 邦宏
所在地:福岡市博多区東比恵2-17-15
設 立:1975年4月
資本金:5億8,595万円
TEL:092-475-1040
URL:https://www.daiichi-general.co.jp
<プロフィール>
吉田 邦宏(よしだ くにひろ)
大分県日田市出身。西日本シティ銀行を経て2010年に(株)第一ゼネラルサービスへ入社。12年6月に代表取締役に就任した。経営手腕には定評があり、事業運営に柔軟な姿勢を見せる。関連キーワード
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