身近な存在になりつつある仮想通貨(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏仮想通貨に関するニュースが連日のようにマスコミを賑わしている。ブロックチェーンという革命的な技術がベースとなって誕生したのが仮想通貨だが、仮想通貨に対する評価はまだまだネガティブな声が多い。仮想通貨は、今後さらに普及すると考えている人がいる反面、仮想通貨に否定的で、仮想通貨は本質的に価値がないので価値がゼロになって消滅するだろうとする意見もある。
しかし、仮想通貨を誕生させたブロックチェーンという技術を理解すればするほど、消滅するどころか、これからさらに進化を続けていくだろうと筆者は考えている。ブロックチェーンの技術はまだ発展途上だが、技術的な課題は今後クリアされるだろう。しかし、市場規模がまだ小さいせいか、仮想通貨は価格変動が激しいという弱点をいまだ克服できていない。
ビットコインやイーサリウムは暴落した後、また価格が反転したりする。先週はビットコインもイーサリウムも価格調整が続いていたが、一時的な現象だろう。その背景には量的緩和策の縮小や米国の利上げが確実化されたことで、金融市場において安全資産が好まれる傾向になりつつあるからだろう。今回はビットコインなどの仮想通貨の昨年を振り返り、今後のことを予想してみよう。
資産として大きな一歩
ビットコイン先物ETFの承認が米国証券取引委員会からようやくおりて、昨年10月19日にスタートした。これはビットコインにとって歴史的な出来事で、一歩前進だといえる。これまではビットコインへの投資を個人が主導していたが、機関投資家のビットコインへの投資が加速している。
ビットコインへの投資額は、一昨年の36億5,500万ドルから昨年は90億9,100万ドルに増え実に2.5倍も増加している。その他にテスラ、ツイッター、韓国のゲーム開発会社ネクソンなどもインフレのヘッジ手段として仮想通貨に投資をしている。
とくに新型コロナウイルス感染拡大中、各国政府は通貨を大量増刷しているので、機関投資家はインフレ回避の手段として仮想通貨への投資を日増しに増やしている。さらに、盛り上がりを見せているNFTや金融機関の介入なしに金融取引を可能にする分散型金融ブームは仮想通貨の需要を爆発的に増加させている。
コインマーケットキャップの統計によると、世界の仮想通貨の時価総額は2兆7,739億ドルとなり、一昨年の6月と比較すると、約2倍増加した。それに加えて、仮想通貨は日常生活に深く浸透し始めている。とくにアメリカではビットコイン決済が拡大中である。アメリカの大手取引所であるCoinbase(コインベース)は、ギフトカードサービスのWeGiftと提携を実施しており、120種類のギフト券がビットコインで購入可能となった。またスターバックスは全世界でビットコインによる決済を可能にした。米国最大の映画館チェーンであるAMCは決済にビットコイン、イーサリウム、ライトコイン(LTC)、ビットコインキャッシュ(BCH)という仮想通貨の決済を追加した。その他に仮想通貨が活用される具体的な例を挙げると、ビットコインなどを預け、銀行の利率より5倍高い利子を受け取ったり、ビットコインを担保に、融資を受けたりする分散型金融サービスが導入され、仮想通貨が使われている。昨年4月には米国最大手の仮想通貨取引所であるコインべースがナスダック市場に上場をはたし、仮想通貨は金融市場の一角を占めるまでになった。
(つづく)
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