「九州・福岡」のポテンシャルを世界に発信 九州一体となって繁栄目指す(後)
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(一社)九州経済連合会
会長 倉富 純男 氏(一社)九州経済連合会(以下、九経連)は1961年4月に設立。2021年に設立60周年を迎えた。昨年6月に九経連会長に就任した倉富純男氏に今年の展望などを聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役 児玉 直)九州全体でコロナ禍から立ち直る
──九州の港などからの一次産品・食品輸出額の23年目標として1,800億円を掲げています。その実現に向けた取り組みについてお聞かせください。
倉富 共同で輸出入する事業体の構築などを行っていますが、中国による輸入規制の影響などもあり、難航していると言わざるを得ません。九州は畜産王国でもありますので、解禁になれば大きな可能性があると思います。
20年11月、九経連が(株)カミチクホールディングス(鹿児島市)などとともに、ベトナムの首都ハノイに「九州プロモーションセンター(KPC)」を開設しました。九州の自治体・企業・団体のベトナムにおける情報収集・発信を目的に開設しましたが、コロナ禍により本格稼働には至っていない状況です。コロナが収束してから動き出すという面は否めず、23年の1,800億円達成については出遅れてしまっています。
──野菜などをネット販売する「オイシックス・ラ・大地」のように農産物の栽培から販売までを手がける企業が九州に2つ、3つ出てくれば活性化するのでしょうね。
倉富 頑張っている農家は九州にもあって、久留米市には年収1億円超の農家がたくさんあります。やる気に満ちた農業従事者20~30人で農業法人を立ち上げて、生産から販売までを手がけているのです。そうやって稼ぐシステムを構築できれば、後継者不足に悩まされることもないと思います。今後のモデルケースとなり得るでしょうね。
──最後に、九経連会長として22年をどのような年にしようと考えているのかをお聞かせください。
倉富 九経連では昨年、設立60周年を迎えたのを機に、「九州将来ビジョン2030年」を取りまとめました。本ビジョンは30年のあるべき姿を描き、実現に向けた具体的な行動を示しており、「新たな時代の成長エンジン」「心の豊かさを成長につなぐ幸せコミュニティ」「自立型広域連携アイランド」を軸に新たな課題創出を促す「10の課題」を掲げています。これらの課題の解決を通じて、「九州から日本を動かす」という九経連のミッションの実現につなげていくつもりです。
我々はあくまでも経済団体ですので、具体的に「この事業に力を入れていく」などと分野を限定するのは難しいですが、「九州全体でコロナ禍から立ち直るために動きましょう」ということを伝えていきたいと思いますし、その流れをつくっていくのが我々の役割だと思っています。コロナが明けたら九州も当然V字回復をしていくわけで、その流れのなか、中長期的な目線で将来に向けた「種まき」もしておかなければなりません。
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コロナにより消費がここ数年抑制傾向にあり、日銀によると家計の現金・預金が1,072兆円と過去最高となりました。コロナ収束にともない、そうした家計の預金が旅行などに向かう「リベンジ消費」につながってくると思います。それらも追い風にして、九州全体が元気になるための「伴走役」としての役割をはたしていくつもりです。
(了)
【文・構成:新貝 竜也】
<プロフィール>
倉富 純男(くらとみ すみお)
1953年生まれ、福岡県うきは市出身。78年青山学院大学卒、西日本鉄道(株)入社。都市開発事業本部商業レジャー事業部長、取締役常務執行役員経営企画本部長などを経て、2013年6月に代表取締役社長就任。21年4月から代表取締役会長。同6月、九州経済連合会会長に就任。福岡県経営者協会会長、九州経営者協会会長も務める。関連記事
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