パーティー問題でイギリスを揺るがすジョンソン首相の命運(中)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸「異色の政治家」ジョンソン首相
ジョンソン首相は独特の感性の持ち主です。ジャーナリストから身をおこし、政治家として首相の座を手にしました。彼の持ち味は、「国民が耳をそばだてて聞きたいと思うような夢を語ること」にあります。語る場所や相手によって、中身はコロコロ変わるのが常です。話す内容が常に変わり、ウソも散りばめられているのですが、聞く人が引き込まれるような情熱があるため、多くの有権者は心を動かされるようです。
2024年の総選挙で、保守党が政権を継続することになるのか、あるいは労働党による巻き返しが実を結ぶのか、コロナ禍で貧富の格差も拡大し、社会の分断化が進むイギリスです。ジョンソン首相の手腕が問われています。いずれにしても大きなカギを握っているのは24歳年下の「可愛いカワウソちゃん」と異名を取るキャリー夫人であることは間違いないようです。
実は、ジョンソン氏は「生まれつきの浮気男」、時には「ウソつきの常習犯」、はたまた「精神異常」とまでいわれるほどの「異色の政治家」として名をはせていました。もちろん、これはジョンソン氏の専売特許ではありません。アメリカのトランプ前大統領はその分野では大先輩でしょう。そのため、イギリスでは「ジョンソン首相はイギリス版のトランプだ」と冗談めかしていわれることもしょっちゅうです。
しかし、日本では意外に思われるかも知れませんが、歴史と伝統の鑑のように見られるイギリスの政界では不倫は日常茶飯事です。ネタが尽きないため、マスコミもあの手この手で政治家の不倫スキャンダルを追いかけています。とはいえ、「古き良き伝統」も時代の波には乗り切れていないようです。
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2024年大統領選に影を落とす米中対立の行方(前)唯一、気を吐いて女性との浮名を流し続けているのがジョンソン首相といえます。しかも、意外なことに、女性問題で辞任し、職を失った高級官僚の穴埋めに新たに指名されている人物は皆、キャリー夫人の知り合いで占められていることです。そのため、巷では「キャリーがイギリスの政治を動かしている」との観測まで出ています。
性的犯罪者の傾向が顕著
いずれにせよ、そんな病的なまでの浮気性の男を結婚相手に選んだというのは、選んだ側に相当な覚悟と魂胆があったに違いありません。ジョンソン氏は3度の結婚を重ねていますが、キャリーさんと出会う前には妻以外に多くの女性と浮名を流しており、子どもの数も公になっているのは6人ですが、「隠し子が何人いるかわからない」と言われているほどです。ちなみに、ジョンソン氏の最初の妻アレグラはオックスフォード大学時代の同級生でした。
2番目の妻はジョンソン氏とは幼馴染で、名うての法廷弁護士でした。この2番目の妻となったマリナ・ウィーラー前夫人によれば、ジョンソン氏は「性的犯罪者の傾向が顕著である」とのこと。しょっちゅう浮気や不倫を繰り返すため、その都度、家から追い出したそうです。
このウィーラー前夫人に言わせれば「ボリスは夫としては失格ですが、元夫として付き合うには楽しい男です」とのこと。いずれにせよ、イギリスの政界やメディア界ではジョンソン氏の病的な性犯罪的行為はよく知れわたっていました。何しろ、ジョンソン氏はウィーラー前夫人との関係を続けながらも、労働党の重鎮であったワイアット卿の娘ペッツイーともできてしまうのです。
そのペッツイーによれば、ジョンソン氏の言い癖は「1人の男が1人の女だけに拘るのは理性的ではない」という勝手な理屈だったそうす。このペッツイーもジョンソンの子どもを妊娠したのですが、ジョンソンの暴言には愛想を尽かしたようで、堕胎する道を選んだのでした。
また、ロンドン市長の時代にはもっと頻繁に浮名を流していたものです。最も注目を浴びたのは美術収集家で中東に多くの顧客を抱えるヘレン・マッキンタイヤーとの逢瀬でしょう。名うての美術商であったヘレンはジョンソン市長を高級レストランで大いに楽しませたようです。
ロンドンには中東の産油国から大富豪が頻繁にショッピングにやってきます。市長からの一声があれば、彼らはヘレンの所有する高額の美術品をいくらでも買ってくれるわけで、お互いにWin-Winの関係を築いたようです。そうした親密な関係もあってか、2009年、ヘレンはジョンソン市長との間にできた女児を出産します。ジョンソン氏が最も可愛がっていると評判のステファニーです。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。最新刊は19年10月に出版された『未来の大国:2030年、世界地図が塗り替わる』(祥伝社新書)。2100年までの未来年表も組み込まれており、大きな話題となっている。最新刊は『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』(祥伝社新書)。関連キーワード
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