2024年12月24日( 火 )

【現役社員座談会】山口FGは「パワハラしないと出世できない」銀行(4)

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 NET IB-Newsなどで既報の山口フィナンシャルグループ(FG)の実態。長年に渡る吉村猛前会長による専横的な経営によって、ガバナンスが機能不全に陥っていることなどを報じてきた。そのためデータ・マックスには山口FGの内部情報が続々と寄せられている。今回は寄せられてきた内部情報を基に独自ルートで取材を敢行、現在の山口FG社内の様子などについて、3人の関係者に鼎談形式で語ってもらった。

(鼎談出席者)
A:退職者
B:現役社員(課長代理)
C:現役社員(係長)

福田進取締役(監査等委員)について

 ──吉村追放の陰の中心人物は、福田進取締役と言われています。

 A:いくつかの記事で福田氏(取締役監査等委員)が黒幕だとされています。福田氏というのは、どのような人なのですか。

 C:態度がデカくて横柄な印象ですが、悪い人のようには思えません。

 B:態度は横柄ですが、気のいい「おっちゃん」です。根は真面目な人ではないでしょうか。記事の印象から受けるほどの悪人ではないと思っています。

 C:ただ、正義感でクーデターを起こしたとは思えません。権力が手に入るとなると、人は変わるのかもしれないですね。

 A:それこそ山口銀行の歴史です。田中耕三氏(元山口銀行頭取)、吉村氏と続きましたが、それ以前の歴代頭取もワンマンの頭取だったと言われています。

 C:福田浩一氏(吉村氏前任の山口銀行元頭取、山口FG初代社長)は、ワンマンではなかったのですか。

 B:田中氏がまだお元気だったから権限がなかったのでしょう。かなり無茶をいう人ではあったと聞きます。

 A:福田(進)氏は、子飼いのHを執行役員として呼び戻したとのことですね。

 B:Hは山口FGの執行役員でしたが、支店長として転出させられていました。今回、執行役員として復帰したことになります。直前は北九州銀行・福岡支店長で、クーデターの情報発信に、重要な役割をはたしたのではないかという噂もあります。

 C:たしかに下関にいるよりは目立ちませんね。福岡から情報発信されていた印象はあります。NetIB-Newsは福岡ですし(笑)。

 A:企画部門と人事部門の本部長を兼務というのは、あり得ないと思いますが…。

 B:重要なことを決める管理部門を独占するわけですからね。

 C:上場企業のガバナンスとして問題があり、社員は意見をいえない雰囲気を感じています。今に始まったことではないのですが…(笑)。

 B:椋梨社長を飛ばして、福田(進)氏-H執行役員のラインができたと見る向きもあります。

 C:それだと、田中氏のときの傀儡頭取と同じ構図ですね。

 A:やはり何も変わっていない印象を受けます。吉村氏だけの問題ではなさそうですね。

吉村猛前会長について

山口フィナンシャルグループ ──改めて吉村氏についてお聞かせください

 A:なかなか強烈な人でしたね。

 B:あまりにも強烈すぎて、言葉が見つかりません。大いに問題ありです。

 C:一部の雑誌やネット記事では、改革派と保守派の対立みたいに書いてありますが、突拍子もないことをやるのが、改革だとは思いません。銀行員が、ワサビ栽培をしてうまくいくなんて思っていたのだとしたら、トチ狂っています。

 A:金融庁はうまくいくと、思っていたのではないでしょうか。

 B:金融庁もトチ狂っているのかもしれません(笑)。

 A:方向性も間違っていたと思いますか。

 C:そこは難しいところですね。山口FG改革への熱意はあったのだと思います。ただ、銀行グループとしてやるべき事業を、見誤っていたのです。

 B:熱意があったとしても、吉村氏の素行不良は酷過ぎました。品行方正だったら、違った結果だったのかもしれません。

 A:品行方正だったら、パワー不足で進まなかったかもしれませんが…(笑)。

 B:今では死語になりつつある「熱塊」という言葉があります。

 C:「熱塊」とは吉村氏が掲げたキーワードですね。10くらい付随する文章があって暗記させられました。ホテルで社員の決起大会みたいなイベントがあって、情熱を感じさせる赤いものを身に付けて参加させられたことがありました(笑)。

 B:吉村氏だけではなくて、忖度してそんなことを企画する周囲も異常だったと思います。

 A:そんな企画をした人たちが今の経営陣ということですかね(笑)。

 C:振り返ると田中氏のように、生保レディへの紹介をノルマとして課すなどの問題があったわけではありません。取締役会は不自然な解任決議をするのであれば、きちんと理由を説明すべきでした。法令違反はないが、資質がないから解任というのは理由として弱い気がしますね。

 A:無理筋の解任劇であり、取締役会にそのような合理的な説明ができるとは思えません。

今後について

 ──最後に今後の再生についての所感をお聞かせください

 A:正直、一連の内部告発は山口FGのためになっているのか、未知数ですね

 C:社員としては悩ましいですが、膿を出し切らないと次には進めないと思います。

 B:明るい未来があると信じます。

 A:今の役員に期待できますか。

 C:NetIB-Newsの記事を読んで、がっかりしたというのが本音です。真実であれば吉村前会長の時と大して変わらないでしょう。

 B:日和見で、吉村氏に権力があれば付いていくし、権力者が変われば新しい権力者に従う。自分の意思なんかないのだと思います。自分の会社の経営陣が、そうなのだと思うと空しくなります。

 C:そういう意味では、吉村氏と一緒に記者会見に出ていたWはまだ気骨があると思いました。ほかの執行役員は情けない限りです。騒動の後もメッセージは伝わってきません。

 A:対外的には、熱心に「新たな経営体制」をアピールしているように見えますね。

 B:外に向かっては立派なことを言いますが、なかでは文書で通達を出すだけですよ。やはりかたちを大事にする文化だし、椋梨社長の格好を気にする性格もあるように思います。

 C:前会長が取締役を辞任しただけで「新たな経営体制」というのは違和感があります。社長は変わっていないのだから経営体制は大して変わっていません。

 B:都合よく吉村氏に、責任を押し付けた面はあると思いますね。

 A:退職者として愛着はあるので、頑張ってほしいですが、なかなか厳しそうですね。少しだけ持っている山口FG株をどうすべきか悩んでしまいます(笑)。

 B:「2度あることは3度ある」と言います。3度目のクーデターが起こるのではないでしょうか。

 C:これだけの騒動を起こして変わらなければ、もう変わるチャンスはやってこない気がします。

 A:今こそ山口FGが変わる最大のチャンスですね。

(了)

【特別取材班】

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