2024年11月22日( 金 )

地震国・火山国日本と原発再稼働

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 政治経済学者の植草一秀氏は5月14日、自身のブログとメールマガジンにおいて地震国・火山国日本で原発を再稼働させることの危険性について述べている。NETIBでは、同記事から一部を抜粋して紹介する。


 石川県志賀町に所在する北陸電力志賀原子力発電所地下を活断層が走っているとされる問題について、原子力規制委員会の専門家調査団が5月13日、1号機原子炉建屋下の断層「S—1」などについて、「地盤をずらす可能性のある断層(活断層)の可能性を否定できない」との意見書を公表した。4人の有識者とも同様の見解だった。

 原子力規制委員会は昨年8月に申請のあった2号機の新規制基準に基づく審査を保留しており、今回の有識者の評価を「重要な知見」として改めて審査する。審査で断層の活動性が認定されると、2号機の再稼働が困難になる。

 他方、志賀原発1号機は審査の申請をしていないが、断層の真上に原子炉建屋があるため廃炉となる可能性が高い。

 福井県に所在する関西電力高浜原発3号機、4号機については、福井地裁の樋口英明裁判長が再稼働の差し止めを求めた仮処分申請で、この4月14日に再稼働を認めない決定を示した。

 また、同じ福井県に所在する関西電力大飯原発3号機、4号機については、同じく福井地方裁判所の樋口英明裁判長が昨年5月21日に運転を差し止める命令を示した。

 安倍政権は安全性が確認されていない原発を日本全国で再稼働させる方針を示しているが、この暴挙にブレーキをかける動きも顕在化しているのである。

 志賀原発のように原子炉直下に活断層が走っている場合は論外であるが、原子炉直下に活断層が走っていなくても、原発の安全性は確保されていない。
福井地裁の樋口英明裁判長は関西電力が大飯原発について、1,260ガルの地震動に耐える設計になっていると説明していることについて、

1.大飯原発に1,260ガルを超える地震は来ないとの、確実な科学的根拠に基づく想定は、本来的に不可能である。

2.我が国において記録された既往最大の震度は、岩手宮城内陸地震における4,022ガルであり、1,260ガルという数値は、これをはるかに下回る。

3.岩手宮城内陸地震規模の地震動を伴う地震は、大飯原発でも発生する可能性がある。

4.岩手宮城内陸地震が起きた東北地方と、大飯原発の位置する北陸地方、ないし隣接する近畿地方とでは、地震の発生頻度において有意的な違いは認められず、若狭地方の既知の活断層に限っても、陸海を問わず多数存在する。

5.この既往最大という概念自体が、有史以来世界最大というものではなく、近時の、我が国において最大というものにすぎないことからすると、1,260ガルを超える地震は、大飯原発に到来する危険がある。

 との見解を示した。そのうえで、耐震性能が1,260ガルに設定されている原発を再稼働させることは認められない、との判断を示したのである。

 日本国憲法は第13条に次の条文を置いている。

 第13条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」について、「立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」ことを定めている。国は、この「人格権」を、最大に尊重しなければならないのである。

 樋口裁判長は、「原子力発電技術の危険性の本質、及びそのもたらす被害の大きさは、福島原発事故を通じて十分に明らかになった」としたうえで、原発に関する国の施策においては、「かような事態を招く具体的危険性が、万が一でもあるのかが、判断の対象とされるべきである」としたのである。

 適正な判断である。いま、日本は火山活動と地震活動の「活動期」に入っていると考えられる。蔵王山、草津白根山、箱根山、御嶽山、阿蘇山、桜島、永良部島で噴火警戒警報が出されている。岩手県では5月13日にも震度5強の強い地震が発生した。この情勢を冷静に判断すれば、原発の稼働を断念することが、唯一の正しい対応である。

 この、あたり前の判断と行動を示すことができないのが、いまの日本の政治力=政権なのである。米国に戦争を仕掛けた70年前の過ちと同類の過ちをいま犯しつつある。

※続きは、メルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1145号「富士山大爆発の可能性と原発推進の論理」で。


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