「鎖国」解除? 外国人入国制限の大幅緩和へ
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ウィズコロナ政策への転換を期待
海外の国々から「鎖国」とも言われていた日本の新型コロナウイルスに対する水際対策が緩和される。
岸田首相は17日の記者会見で3月から、観光目的以外のビジネス関係者・留学生・技能実習生の新規入国者上限を1日3,500人から5,000人へ引き上げると発表した。
入国後の待機期間も検査での陰性確認を条件に7日間を3日間に短縮できるようになった。また、感染状況が落ち着いている国からの入国者のうち、3回目のワクチン接種証明がある入国者については待機期間を免除できるとしている。
岸田首相はこれらが社会経済活動と感染症対策の両立に向けた「出口戦略」であるとし、「第6波の出口に向かって徐々に歩み始める。次のフェーズへと準備を進めて行く」と述べている。
年頭の記者会見以来、「やっと」というべきなのか、ぶら下がり会見は60回以上あったものの、国民に向けた正式な記者会見は1カ月半ぶり。ぶら下がりと会見では、国民に伝えるメッセージそのものの信ぴょう性、そしてパワーが違う。
約2年間繰り返されてきた行動規制により、主要先進国のなかでGDP(国内総生産)が、いまだにコロナ禍前の水準に戻ってないのは日本だけである。
経済界では、早く規制を緩和しないと、人・モノ・金の動きが鈍り、経済成長率がストップしてしまい、大きな格差が生じるとの見方もある。今回の水際対策緩和を契機に、我が国がゼロコロナ政策からウィズコロナ政策へと転換することを期待する。
また、岸田首相は3月からの水際対策について、G7で最も厳しい水準は維持するとしたうえで、あくまでも今回の措置は第一弾であり、従来のオミクロン株よりさらに感染力が強い「BA.2」(ステルスオミクロン)の市中感染などにより「第7波」へとつながらぬように注視して、総合的な判断をするとも述べている。
緩和措置への不安
3月からの水際対策緩和政策では、観光目的以外のビジネス関係者・留学生・技能実習生の新規入国を1日5,000人としているが、すでに2020年1月頃から2021年11月頃にかけて在留資格を取得し、長期間の入国待ちをしている留学希望の学生だけでも15万人超いる。同様に各国からの技能実習生も、入国希望者が10万人超待機している。これに観光目的以外のビジネス関係者を加えると軽く30万人を超える。
それだけではない。新たに同様の在留資格の取得希望者が増加するはずである。また、これらの新規取得手続きに3カ月ほどかかるとしても、関係機関は、膨大な入国者をどのような対応で処理するのだろうか。
いったん、緩和して2週間も経過しないうちに再び入国規制を行った昨年11月の経緯を思い出すと、今回の緩和措置にも不安を感じずにはいられない。
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世界平和に向けて(27)外国人入国制限要件の大幅緩和へ始動(前)この期間中に入国できた留学生や技能実習生たちは良いが、仮に今回も入国できなかった場合、いよいよ日本への入国をあきらめざるを得ない事態になってしまい、入国先の変更も検討するだろう。たとえば日本語学校への留学で在留資格を取得していた場合、学校にもよるが、一般的に入学時に必要な入学金や施設費、寮費や教材費、授業料などの支払いを行ったうえで在留資格を取得している。しかし、入国をあきらめざる得ない事態が発生した場合、受講していない授業料を含めた金銭以外は返金されない事態の発生も予想される。
いまだ感染拡大が続いている状況下であり、緩和政策による過剰な期待をすべき時期ではないだろう。今後、30万人を超す外国人が入国するのであれば、入国時の確実な検査を徹底しなければ、水際緩和政策が単なる気休めとなってしまい、また入国規制の再開を余儀なくされてしまう。
昨年も問題となった技能実習生を受け入れた企業の倒産や雇い止めが、志を高くして来日した実習生たちの人生を変えてしまう、この時点で出国し、帰国すらできないと日常生活も困難となり、犯罪への関与が多発する事態も生じうる。ますます、この制度の根本的な問題が露呈するが、「都合の悪い現実」に対して政府は目を向けようとしない。
外国人留学生受け入れを通じた街づくり
先日、ある監理団体の理事長からベトナム人技能実習生に関する話を聞いた。それによると、ある自治体の市長から若年者人口を増やしたいので、介護を学ぶベトナム人留学生を増やしたいと依頼があったという。この組合の理事長は自身が建築士ということもあり、常に「街づくり」を念頭に置いているとのこと。この自治体にベトナム食材を売る店やベトナム料理店をつくるなどして、ベトナム人留学生にとって魅力的な街づくりを行いたいというのが監理団体を設立した動機だという。この監理団体は通常の団体と活動に対する基本的な考え方が全く異なると感じている。
【岡本 弘一】
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