九州地銀の2022年3月期 第3四半期(12月期)決算を検証する (5)
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【表1】を見ていただきたい。九州地銀17行(含むFG・FH)の2020年12月期の貸倒引当金順位表である(以下、億円以下は切り捨てて表記)。
(1) 金融グループの貸倒引当金順位表について
~この表から見えるもの~
◆21年12月期の貸倒引当金残高トップはふくおかFG(3行)で前期比▲13億円の2,013億円。貸出金に対する引当率は1.20%で金融グループの平均0.98%を上回っている。
・2位は九州FGで前期比36億円増の795億円。貸出金に対する引当率は1.02%で金融グループ平均0.98%を上回っている。
・3位は西日本FH (2行)で前期比1億円増の441億円。貸出金に対する引当率は0.52%で金融グループ平均0.98%を大きく下回っている。(2) 九州地銀17行の貸倒引当金順位表について
~この表から見えるもの~
◆貸倒引当金1位はふくおかFG傘下の福岡銀行で前期比▲30億円の1,112億円。貸出金に対する引当率は0.99%。九州地銀平均0.90%を上回っている。
・2位は九州FG傘下の鹿児島銀行で前期比25億円増の513億円。貸出金に対する引当率は1.33%。九州地銀平均0.90%を上回っている。
・3位はふくおかFG傘下の十八親和銀行で前期比19億円増の447億円。引当率は1.14%。九州地銀平均0.90%を上回っている。
・4位は西日本FH傘下の西日本シティ銀行で前期比2億円増の386億円。引当率は0.47%で九州地銀平均0.90%を大きく下回っている。第一地銀のなかでは筑邦銀行に次いで低い。
・5位は大分銀行で前期比▲1億円の288億円。引当率は1.46%。地銀平均0.90%を上回っている。
・6位は九州FG傘下の肥後銀行で前期比5億円増の244億円。引当率は0.61%で地銀平均0.90%を下回っている。
・7位はふくおかFG傘下の熊本銀行で前期比▲5億円の202億円。引当率は1.11%で地銀平均0.90%を上回っている。
・8位は佐賀銀行で前期比20億円増の175億円。引当率は0.88%で地銀平均よりわずかに低い。
・9位は宮崎銀行で前期比33億円増の131億円。引当率は0.59%で地銀平均0.90%より低い。
・10位は南日本銀行で前期比▲5億円の126億円。引当率は2.13%。九州地銀17行のなかで一番高い。
・11位は山口FG傘下の北九州銀行だと予想される。山口FGは、12月期の貸倒引当金を表示していないからだ。そのため、山口FGの総合企画部に「九州地銀はすべて貸倒引当金を表示しているので教えてほしい」と問い合わせたところ、「確かにご指摘の通り、第1四半期、第3四半期は貸倒引当金を表示していない。特定の方のみに教えるわけにはいかないため、上司と相談してからでないと答えられない」として、回答を得られなかった。
・12位は豊和銀行で前期比▲10億円の46億円。引当率は1.10%で地銀平均0.90%より高い。
・13位は福岡中央銀行で前期比2億円増の42億円。引当率は0.98%で地銀平均0.90%より高い。
・14位は佐賀共栄銀行で前期比1億円増の33億円。引当率は1.66%で地銀平均0.90%より高い。
・15位は筑邦銀行で前期比増減なしの22億円。引当率は0.41%。第一地銀のなかでは一番低い。
・16位は宮崎太陽銀行で前期比▲1億円の21億円。引当率は0.40%で地銀平均0.90%の半分以下となっている。
・17位は西日本FH傘下の長崎銀行で前期比1億円増の4億円。引当率は0.14%。九州地銀17行中一番低い引当率となっている。<まとめ>
九州地銀17行の平均引当率は0.90%。第一地銀10行のうち平均引当率.を上回っているのは福岡銀行など4行で、下回っているのは西日本シティ銀行など5行。表示なし1行。第二地銀行7行のうち平均引当率を上回っているのは熊本銀行など5行。下回っているのは宮崎太陽銀行など2行となっている。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、九州地銀の貸出金は低迷しているのが読み取れる。22年3月の期末まで残り20日となった。はたして、貸出金は21年3月末をどこまで超えることができるのだろうか。(つづく)
【(株)データ・マックス顧問 浜崎 裕治】
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