2024年11月22日( 金 )

【深層検証・山口FG(1)】<スクープ>山口FGが4月に組織改正

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山口フィナンシャルグループ     NetIB-Newsの取材で、山口フィナンシャルグループ(FG)が4月1日付で大幅な組織改正を行うことがわかった。すでに社内に周知されたという。

 吉村猛前会長の下で進められた持ち株会社への権限集中を改め、子会社の銀行に大きな権限を与える方針だ。組織改正の骨子は次の通り。

・子会社銀行に人事異動や人事評価の権限を与える。
・法人融資の審査や運用部門の投資判断は持ち株会社社長ではなく、銀行頭取の管轄下で行う。
・吉村氏の改革の一環として、銀行支店長はリテール部門に関与できない組織形態となっていたが、法人部門・リテール部門ともに支店長の権限を復活させる。
・持ち株会社の営業企画部門は大規模な統合・縮小を行い、これまでの「部」は「室」へ格下げする。営業企画部門については子会社銀行に大幅な権限を委譲する。また、吉村氏の愛人とされた女性が企画し、設置されたといわれるマーケティング戦略部は廃止する。

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 全国の地銀が持ち株会社を設立して、銀行業以外へ多角化を図る動きとは逆のように思われるが、山口FG関係者は次のように説明する。

 「近隣の広島銀行や中国銀行が持ち株会社をつくって多角化を図ろうとしているのに、時代の流れに逆行していますね。吉村氏の掲げた『脱銀行』を否定しているようにも見えます。ただ、そんな信念があるわけではなく、椋梨社長が先輩である(各)銀行の役員を抑えきれていないのでしょう。とくに山口銀行が大きな権限を手に入れ、持ち株会社が(銀行を)コントロールできなくなる可能性があります。古き良き時代の銀行へ回帰したいのでしょうが、時代錯誤そのものです。これからは銀行中心ではなく、グループ全体での事業構造を考えないといけません。それなのに、今回の改正で銀行の権限が強くなる一方で、ほかの子会社の方向性は不透明なままです。その点では、吉村氏の『脱銀行』のほうが時代を先取りしていて説得力がありました」。

 また、別の関係者は次のように語る。

 「大幅に部が削減されますので、部長ポストが減ることになります。今回の組織改正を機に、大幅な人事異動も行われるでしょう。吉村シンパの粛清も行われると噂されており、戦々恐々としている管理職も多いようです。再び、執行役員の解任も行われるかもしれません」。

 さらに、マーケティング戦略部の廃止についても言及した。

 「マーケティング企画はお客さまの視点でどうあるべきかを考えるものであり、営業企画とは違うものではないでしょうか。設立の経緯はどうであれ、売り手側ではなく、お客さまの立場で企画を行う部は必要だと思いますね。それは時代の要請でもあるように思います。結局、お客さまのことなど考えず、内輪の怨恨だけで廃止してしまったように見えます。内向きの姿勢は変わらないのかもしれません」。

 なんとも複雑な人間関係が入り組んだ企業のようである。トップが代わっても、醜い人事抗争は終わらないのかもしれない。山口FGの人事異動は当日告げられるという。その日の朝、出勤したら、もう違う部署だというのだから不思議な企業文化である。4月1日、山口FGで波乱が起きる可能性もありそうだ。

【特別取材班】

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