【技能実習生】特定技能2号の在留期間拡大と11分野の追加
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人手不足の解消を目的に正社員雇用ができる特定技能1号と2号は、生産年齢人口が急激に減少している日本の企業に重宝される在留資格である。このほど入管関係者への取材により、政府が2022年度中にも、特定技能2号の在留期間の拡大と、現行の2分野に加えて1号で認められているほかの11分野を2号にも追加する方向で検討していることがわかった。
2019年に新設された在留資格の特定技能1号・2号
まず、1号と2号の違いを理解しておく必要がある。出入国管理法の改正により、19年4月に新設された在留資格で、それぞれの技能水準に応じて1号と2号にわかれている。
1号は「相当程度の知識、経験」を必要とし、分野別の技能試験と日本語能力試験に合格する方法がある。または、技能実習生が3年間の実習期間を修了することにより取得できる方法もある。
1号の在留期間は5年間が上限で、家族の帯同は基本的に認められていない。
2号は技能試験を受験する必要があり、「熟練した技能」が求められる。定められた在留期間ごとに更新が必要であるが、1号とは異なり、2号は更新が許可され続ければ、上限なく日本で就労できる。また、要件を満たせば配偶者や子どもも連れてくることができる。
この「上限がなく」という表現を強調すると、2号の在留資格がまるで無条件に「無期限」であるかのように思ってしまうが、正確にいえば、在留期限があると考えたほうが、法を間違って解釈しなくて済む。
つまり、あくまでも「更新許可申請が許可され続けた場合のみ無期限に在留ができる」というのが法の解釈であるから、この前提なしに「無期限」と解釈してしまうのは、法の解釈上、まったく適切ではない。このことをしっかりと学び、とくに実務で従事する方々が混同しないように注意する必要がある。
1号と2号は4月で3年を経過するが、まだ1号の在留期限である5年間が経過していないため、2号に移行する技能試験は実施されておらず、試験の具体的な内容や難易度については今のところまったくわかっていない。
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【技能実習生】
ベトナム人実習生にみる搾取の構造(前)昨年11月18日、松野博一内閣官房長官は記者会見で、「人材確保が困難な状況にあるため、不足する人材の確保を図るべき産業上の分野において外国人を受け入れる」「期間ごとに更新を認めるものであり、決して無期限の在留を認めるものではない。また、無条件に永住を可能とするものではない」と、特定技能2号の法解釈を正確に述べている。
22年度中を目指して11分野の追加検討
現在、特定技能2号に適用されている2分野は、「建設」「造船・舶用工業」である。政府はその他の11分野を2号にも拡大する方向で検討を進めている。
1号に適用される14業種とは、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設・造船、舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業である。
介護分野は対象外となる見込み。なぜなら、介護分野で雇用された特定技能1号が在留期間の5年間を終了すれば、特定技能とは別に「介護」の在留資格があるため、これに変更すれば引き続き就労できるからである。
だから、わざわざ特定技能2号で再雇用されなくても、「介護」の在留資格で毎年「更新許可申請要件を満たせば」無期限に在留できるのである。
更新を続けて、「永住者」の申請要件である「日本に在留して10年以上」の在留期間を満たせば(特定技能1号の在留期間の5年間は算入されない)、「永住権」を取得して就労が続けられ、家族とともに生活ができる。
14分野のうち「介護」を除いた13分野で、特定技能2号の受け入れが可能になると、たとえば2号で介護分野に入って働く外国人が減少するのではないかと懸念される。
受け入れ企業のメリットとデメリット
特定技能2号に11分野が追加されると、この分野に該当する企業にとっては、同じ人材を長期間、受け入れたまま雇用できるメリットが生じるだろう。
その一方で、特定技能の外国人が増加することで、各分野で決められている受け入れ人数枠の上限に早期に達してしまうと、新規の受け入れ雇用ができなくなる。
特定技能の外国人受け入れ総数
政府は、特定技能外国人人材の受け入れ雇用に分野別人数を設定しており、その総数は19年4月の創設時から5年間で、最大35万5,150人と定め、各分野の受け入れ最大数を掲げている。
各分野の受け入れ人数枠を以下に記載する。
とくに気になる分野は産業機械製造業である。受け入れ見込み最大数の5,250人に対し、受入数は3,180人と、すでに上限の60%を超えている。このため、同分野は新規の受け入れを制限されると推察される。
特定技能1号と2号の関連情報については、引き続き取り上げていく。
【岡本 弘一】
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