2024年12月25日( 水 )

モンキーポックスが急拡大 懸念される日本への上陸(前)

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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

 「一難去って、また一難」でしょうか。世界的に新たな感染症の出現が確認されるようになったからです。脅威の源泉は「モンキーポックス(サル痘)」と呼ばれる感染症。これまではアフリカ大陸の西部と中央部にしか存在が確認されていませんでした。

致死率は1~10%程度

ワクチン イメージ    サル痘の存在が確認されたのは1958年のこと。アフリカでは毎年、数千人単位でサル痘の患者が確認されてきましたが、アフリカ以外では確認されたことがありません。このサル痘は、かつて世界的に大流行し、3億人の命を奪った天然痘の1種とされています。

 ところが、5月上旬にスペインで、8,000人が参加して開かれた大規模なLGBTフェスティバルの参加者から感染が急拡大。同じころ、ベルギーでも同性愛者のイベントが開催されたため、この2つの集会が感染源とみられています。すでに欧米や中東を中心に30カ国で感染が確認され、たった数週間でヨーロッパから北米大陸にまで猛スピードで広がっているわけです。

 現時点では各国で600人の感染が確認されていますが、いまだ発症していないケースも想定され、今後の急増も懸念されています。比較的若い男性の同性愛行為が引き金になっているようです。

 こうした緊急事態を受け、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では「警戒レベル2」を発し、海外渡航には細心の注意を払うように促しています。CDCによれば、アフリカの野生動物から抽出したクリーム、ローション、パウダーは使わないこと。もちろん、ネズミ、リスといった囓歯類や、サルなどの霊長類の肉を食べるのは危険とされています。こうした肉を食べると、サル痘に感染するリスクは高いといえるでしょう。

 感染すると数週間の潜伏期間を経て、顔から手足、全身に発疹が現れます。初期の症状は発熱、頭痛、筋肉痛、悪寒、疲労感などで、コロナとよく似ているわけです。とはいえ、致死率は1%から最悪10%程度であるため、過度の心配は不要とも言われています。しかし、このほど来日したバイデン大統領も世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長も、「無視できない危険をはらんでいる。早急な対策が欠かせない」と危機感を募らせていました。

 また、WHOでは「現時点ではパンデミックになる可能性は断定できず、原因や感染経路の詳しい分析を行っている」とのこと。要は、「いまだ未知の要素が多い新たな感染症」というわけです。ヨーロッパでは英国の感染者数が最多となっています。そのため、英国でもベルギーでも、感染した場合には「21日間の隔離が必要」との指示が出されました。英国に次いで感染者数が多いのはスペイン、ポルトガルです。

 ところで、毎年6月は「プライド月間」と呼ばれ、LGBTの権利を推進する活動が世界的に開催されるため、各国の衛生当局は警戒を強めています。日本でも代々木公園で、3万人が集まる集会が開かれたばかりです。これは1969年6月28日、ニューヨークを皮切りに発生した「ストーンウォールの反乱」にちなんで、LGBTQ+の権利を促進しようとするものです。性の多様性を象徴するシンボルとして6色のレインボーフラッグが掲げられ、世界各地でイベントやデモが展開されています。

 アメリカ文化を象徴するマクドナルドでは、こうした動きとウクライナ危機を関連させ、「皆、違っていて当たり前。愛は違いを乗り越える」といったキャンペーンを始めました。その一環として、従来のポテトフライに加えて、「レインボー・スティック」を多様性の象徴として売り出しています。

 要は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に反対し、多様性と平和の大切さをレインボー関連商品に込めているわけです。ロシアの専制主義的な行動と対照的な民主的な活動を標ぼうしようというのが、マクドナルドの作戦にほかなりません。

ワクチンを開発していたメーカーも

 プライド月間の期間中は、とくに同性愛者の集まりが大規模に開かれるため、モンキーポックスの感染拡大に一層火が付くのではないかとの懸念が広がっています。主催者の間では「コンドームの着用」を呼びかける声も聞かれますが、それだけで予防対策となるのかは不明です。なぜなら、キスだけでも感染することが明らかになっているわけですから。

 そうであれば、燎原の火のごとく、急速に拡大する恐れも否定できません。そのため、アメリカをはじめ、ドイツやフランスなど欧州各国でも、早速、サル痘用のワクチンを緊急かつ大量に確保する動きが始まっています。バイデン大統領いわく、「アメリカ国民全員に行き渡る量を入手するので安心してほしい」。この数年、コロナのパンデミックを経験したことで、対策は素早いといえそうです。

 実は、こうした事態を予見していたかのように、天然痘ワクチンを改良してサル痘用のワクチンを開発していたワクチンメーカーがあるというので驚きます。しかも、このメーカーにはビル・ゲイツ氏やファウチ博士が資金提供を行っていたとのこと。まさに、コロナ用のワクチンを手回しよく準備していた欧米のワクチンメーカーと同じ流れが見て取れます。

 専門家の間では「現在拡大中のサル痘はアフリカ由来のウイルスとは違い、人工的な手が加えられている」との指摘も出ており、ますます疑わざるを得ない状況です。思い起こせば、ビル・ゲイツ氏は新型コロナウィルスが発生する直前の2019年10月に、ニューヨークで「イベント201」と称するシミュレーション会議を主催し、「感染症が勃発するので、ワクチンメーカーに投資すれば大儲けできる」と呼びかけ、実際、その通りになりました。

(つづく)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
 国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

(後)

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