バイデンの新たな対アジア戦略 振り回される岸田政権(中)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸レームダック化する可能性も
ロシアのプーチン大統領は、そうしたアメリカの食料戦略を模倣しているに過ぎません。
ウクライナやロシアから穀物や肥料、それらの原料が届かなくなれば、最初はヨーロッパが、そして最終的にはアメリカも音を上げると踏んでいるのでしょう。実際、アメリカでは食料不足から食品の値上げが続き、バイデン政権への不満と支持率の急落をもたらしてしまいました。この秋には中間選挙を控え、民主党の敗北が濃厚になりつつあるため、バイデン大統領は右手でロシア批判をエスカレートさせ、左手ではロシアの肥料を買い増せと、ちぐはぐな政策を展開しています。とはいえ、国家財政は火の車なのに、息子のハンター・バイデン氏の関わってきたウクライナ、ロシア、中国での非合法ビジネスを通じて、バイデン一家は大儲けを続けていることは間違いないようです。
この点をトランプ前大統領は次々と暴露し、2024年には大統領としてカムバックを狙っていると思われます。このところ、バイデン大統領の側近が相次いで辞職し始めました。どうやら先行きに陰りが見えるため、「沈没船から早めに脱出」を意図しているとしか思えません。「ディープレディ」と呼ばれるファーストレディのジル夫人が必死に支えていますが、秋の中間選挙の結果次第では、バイデン政権はレームダック化する可能性も否めません。
日本では24年ぶりの円安が問題になっています。一進一退はあるでしょうが、このままでは1ドル140円を突破し、150円もあり得るとの市場予測も出ています。アメリカの投資ファンドからは「160円もあり得る」との分析も出てきました。彼らの狙いは円安を加速させ、安く円を仕入れて、利回りの稼げる不動産に投資するという発想です。
これもひとえにアメリカによるインフレ抑止のための利上げ政策の影響をもろに受けているためです。唯一ゼロ金利に固執する日銀の頑なな姿勢が問題視されていますが、実は政府日銀にゼロ金利を強要しているのはバイデン政権に他なりません。国際的な決済通貨でありペトロダラーとして隠然たる影響力を誇示し、超大国アメリカの象徴であったドルを守るためには日本の円安が欠かせないとの判断が下された結果です。
加熱する通貨バトル
とはいえ、このまま円安が加速すれば、1990年代末期のアジア通貨危機の再来ともなりかねません。このことに一番頭を悩ませているのが中国の習近平国家主席でしょう。ドルに代わる「デジタル人民元」構想を目論んでいる中国にとって、円安ドル高は歓迎できません。人民元の価値を高め、ドル一極体制を崩すことを狙う習近平国家主席は現下の円安には何とか歯止めをかけたいと考えているに違いありません。その意味ではウクライナ情勢が東アジアに飛び火するような事態は避けたいはずです。いずれにせよ、「通貨バトルロワイアル」は過熱する一方で、バイデン政権は円安を加速させ、人民元への値下げ圧力を強めたいと願っているフシが読み取れます。
その一方で、気になるのが新たな感染症の脅威です。アメリカのCDCのファウチ博士ですらコロナのワクチンを4回接種し、国民にも「ワクチン接種をすればコロナには感染しない」とことあるごとに推奨していたにもかかわらず、ついにコロナに感染してしまいました。これではワクチン接種の意味がありません。
現在81歳のファウチ博士は自身が感染する直前まで「アメリカはワクチン接種が進んだので感染の恐れは過ぎた」と自画自賛していました。しかも、ワクチン接種の効果で「アメリカの成人の60%、子どもの75%には感染症に対する自己免疫力が獲得された」とも主張していたはずです。コロナ対策の最高責任者の言動には深刻な落とし穴があるようです。
となると、これからの蔓延が懸念されている「サル痘」についても、不信感が増すばかりです。アメリカはじめドイツ、フランスなど欧州各国でも、すでにサル痘用のワクチンを緊急かつ大量に確保する動きが始まっています。しかも、こうした事態を予見していたかのように、天然痘ワクチンを改良してサル痘用のワクチンを開発していたワクチンメーカーがあるという手回しの良さです。
しかも、このメーカーにはビル・ゲイツ氏やファウチ博士が資金提供を行っていたとのこと。まさにCOVID-19用のワクチンを手回しよく準備していた欧米のワクチンメーカーと同じ流れが見て取れます。何やら、次々に発生する感染症ですが、いずれの場合にも、前もってワクチンの研究や製造が準備されているわけで、あたかも誰かがつくったシナリオ通りの展開といえなくもありません。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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