亡くなる直前の安倍元首相の気になる発言(前)
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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸去る7月9日、選挙応援演説中に凶弾に倒れ、非業の死を遂げた安倍晋三元首相。世界各地からお悔やみのメッセージが多数、届いています。外務大臣によれば「世界の200を超える国や地域から哀悼の意を伝えるメッセージが届いている」とのことです。「俺はそんなに評価されていたのか」と安倍元首相があの世で感じ入っている姿が目に浮かびます。
小生は安倍氏とは国会議員のころ、何度もご一緒する機会がありました。また、予算委員会ではしばしば議論を戦わせたものです。とくに、北朝鮮の聖地と目される白頭山が地下核実験の影響もあり噴火の予兆を見せているため、緊急対策の必要性について議論したことは忘れられません。心よりご冥福をお祈りしています。
さて、日本での報道は現行犯逮捕された男の動機を説明しようとするあまり、特定の宗教団体を取り上げる傾向が強いようです。しかし、アメリカや中国ではかなり違った視点から、今回の暗殺事件を取り上げ分析しています。
1つは、安倍元首相が表向きはアメリカや台湾との関係を強化しながらも、水面下では中国やロシアとのパイプを太くしてきた点です。先にスペインで開催されたNATO首脳会議に現職の首相として初参加した岸田首相が帰国後、真っ先に報告に駆け付けたのは安倍元首相でした。
というのは、このNATO首脳会議において、岸田首相はアメリカからかつてないほど厳しい要求を突き付けられたからです。詳細は伏せられていますが、アメリカの国務省の責任者からは「対ロ制裁の一段の強化」と「中国との全面対決への備え」を迫られたとのこと。
この報告を受けた安倍元首相はバイデン政権との関係強化を明言すると同時に、ロシア、中国とのバックチャンネルを活用し、アメリカのいうなりにはならない“第3の道”を模索したようです。
とはいえ、アメリカや中国の報道を分析すると、安倍元首相のそうした水面下の動きはたちどころにアメリカの察知するところとなり、鉄槌が下された可能性も否定できないと思われる報道が存在するのです。
もう1つの点は、コロナのワクチンに関するものです。安倍元首相は新型コロナウィルスがパンデミック化した直後から「インフルエンザとあまり変わらない。過剰な反応は必要なく、海外からの訪問客を抑えることも意味がない」との発言を繰り返し、欧米のワクチンに頼らず、「国産のイベルメクチンの有効性に着目すべき」との立場を取っていました。
今でこそ、アメリカのCDCからも欧州医薬品局(EMA)からも「メッセンジャーRNAワクチンが人の免疫力を破壊し、コロナに限らず各種の病気に罹り易くなるリスク」が指摘されるようになってきましたが、一方でいまだ「ワクチンはコロナの感染予防の切り札」という見方も強いままになっています。そのため、海外メディアからは「ワクチン懐疑派の安倍氏は危険な存在と見なされたのではないか」といった指摘もあります。
一事が万事。海外ではさまざまな憶測や分析が飛び交っているわけですが、日本では一本調子の報道ばかりが目につきます。これでは、「世界の真実」からは程遠いと言わざるを得ません。とくに世界の報道のなかで、際立って奇妙な反応が見られたのは中国でした。
というのも、安倍元首相が奈良市で遊説中に凶弾に倒れたのは午前11時30分頃でしたが、その前日の夕刻6時過ぎに中国のサイトでは「日本の現職と元職の首相に背後から接近することに成功した。上から与えられた任務を間もなく完遂する」との投稿があったのです。
投稿したのは「重装小免」という匿名の人物ですが、以前にも「安倍元首相の暗殺予告」が大手を振ってネット上で掲載されていた中国だけに、今回の事件と何らかの関係があったのではないかと憶測を呼んでいます。
一方、安倍元首相の暗殺によって、マレーシアの人気歌手フィッシュ・レオンさんが流行らせたラブソングが放送禁止になってしまいました。2005年に大ヒットした「Unfortunately Not You」という曲です。「あたなでなくて残念」という題名(編集部注:中国語タイトルは「可惜不是你」)なのですが、何と中国では放送もダウンロードも禁止されてしまったのです。一体、何が原因なのでしょうか。
日本では想像できない話ですが、中国のネット上では、安倍元首相の暗殺のニュースが流れると同時に、この「あなたでなくて残念」という歌詞が一斉に広がったのです。「Unfortunately」は中国語では「可惜」(kexi)と発音されます。「Xi」といえば、誰のことでしょう?
要は、「Xiさんでなく、安倍さんが暗殺されて残念」という意味合いで、この曲がネット上で拡散し始めたのです。すぐさま当局はダウンロードができないようにしてしまいました。
残念ながら、中国のネット上では安倍元首相の評判は芳しくありません。今回の事件を受けて、「万歳!」を唱える書き込みも目立ちました。靖国神社参拝が問題視されたせいでしょう。しかし、それにつけてもネット利用者の間で広がりそうになった現政権への批判や揶揄の動きを即座に封印するのは見上げたもの。
(つづく)
浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。関連キーワード
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