2024年11月24日( 日 )

【福岡IR特別連載97】朝長市長、これだけ馬鹿にされた“抜け駆け” なぜわからない

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ハウステンボス イメージ 筆者の予想通りの記事が早速『長崎新聞』に掲載された。見出しは『ハウステンボス売却でIR誘致は… 佐世保市長「影響ない」』というもの。地元新聞社の能力の低さには、呆れて、解説するのも憚れる。

 くわえて、記事では、エイチ・アイ・エス(HIS)に裏切られた当人が、馬鹿正直に「ハウステンボス売却話は驚いた」とその心情を吐露している。併せて2019年4月に、長崎県と佐世保市ならびにハウステンボス(以下、HTB、事実上はHIS)との3社による「基本協定契約」は締結済みであり、同園所有の当該地(IRの予定地)を205億円で行政が購入する契約をしているという非常にまずい内容を朝長佐世保市長が新聞社に暴露しているのだ。

 挙句の果てに、HTBのサラリーマン社長も本件売却話は全然知らなかったとし、驚いたと話しているのだ。現地の責任者も知らない、中華系企業との完全な水面下での「抜け駆け」交渉である。

 先日、『毎日新聞』が躍起になって長崎県に対し、この基本協定書の「公文書開示請求」を起こしている(【福岡IR特別連載89】長崎IR、また墓穴を掘っている)。県はいまだにこれを公開していないのにもかかわらず、何とも凄い契約内容の佐世保市長による暴露である。これで長崎県と佐世保市の連携、情報共有はできているのか?誠にお粗末なIR候補地の管轄行政である。

 また、この辻褄の合わない記事内容に、長崎新聞の記者ならびに彼らの上司または主管者はまったく気がつかず、それに触れてもいないのだ。何という愚かなことなのか。重ねてこれらのことを指摘している。

 要は、この205億円と長崎IRの可能性(すでに可能性はない)を付加価値に、これを武器とした「HTB売却・転売」の話だから、『西日本新聞』が「売却額交渉800億円超」とスッパ抜いた。彼らHISもこれに慌てているのだ。

 重ねて説明するが、HISの澤田氏は、提出済みの「区域認定申請書」の否決前に、早急にHTBを売り抜きたいのである。こんな理屈は、ちょっとした経済人なら誰でもわかることなのだ。

長崎IRは崩壊どころか、政治スキャンダルに発展する

 さらに、また「長崎IRに影響なし」との再度の当該地の市長発言は、本件売却交渉の“片棒を担いでいる”と言われても仕方がない。

 中華系企業との訴訟問題にもなりかねない本件の売却交渉は、後に政治スキャンダルにも発展する可能性は十分にある。何という愚かな彼らの取材とその対応なのか。馬鹿に付ける薬はないということか。今後、これらのことは間違いなく大変な事態を引き起こす。

 なぜなら、この問題は、税金を納めている長崎県民にも佐世保市民にも安易に判断できる内容で、誰が考えても“辻褄の合わない、HIS澤田氏の1人勝ち”の結果となり、一般庶民の皆さんにとっては怒り狂う問題だからだ。

 県議会も市議会も、来年の統一地方選挙を控えていることから大変な政治問題になり、忖度しまくっている長崎新聞以外のマスコミの格好のネタになると確信する。ゆえに、長崎県行政は、それを恐れ憂慮するからこそ「基本協定書の開示」をしないのだ。

 朝長佐世保市長と長崎新聞は何を見ているのか。先の西日本新聞報道の「売却額、800億超」で、本家本元のIRの資金調達はできず、すでに長崎IRの誘致開発事業は事実上、完全に崩壊しているのだ。

 こんなお粗末な「地方の騒動」に、誰もが巻き込まれたくないとして、すでに答えは出ているのである。福岡財界の協力なくして何ができるのか。すでに手遅れではあるが、この問題は、IR事業以前のお粗末すぎる長崎県と佐世保市行政の多大な不手際とその能力の低さにある。

 この問題の要点は、地方の“素朴”な本件管轄行政と議会ならびにその関係者全員が、結果として、HISの澤田氏に抜け駆けされ、「寝首を掻かれ、手のひらで踊らされた」だけの誠にお粗末な出来事なのである。

【青木 義彦】

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