巨人稲盛和夫氏に学ぶ(9)~本気のゲンコツをいただいた思い出は宝物
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(医)立山
理事長・歯科医師 立山 由乘京セラを立ち上げ、第二電電創業者を経て日本航空を会長として陣頭指揮して再生させた実績、このような異業種にわたって1兆円を超える企業経営を果たした故人・稲盛和夫氏のような経営者は、日本にはもはや存在しない。「盛和塾」においては全国、全世界の経営者育成に貢献された。今回は、盛和塾福岡で代表世話人を務めた医療法人立山の理事長・立山由乘氏に、稲盛氏への追悼メッセージをいただいた。
稲盛さんには何度も直接お会いすることができ、そのたびにさまざまな教えを受けることができました。とくに印象に残っている教えは、「稲盛経営12ヵ条」のなかの「誰にも負けない努力をしなさい」というものです。その当時は、まだあまり利益が出ておらずに悩んでいたのですが、「“誰にも負けない努力”でなければならない」「会社というのは、経営トップの姿勢で変わるんだ」という教えに、とても感銘を受けたのを覚えています。その教えを励みに頑張った結果、経営も好転していきました。本当に感謝しております。
実は、私は5年くらい前の全国代表世話人会で、稲盛さんに「喝を入れてください!」とお願いして、頭のてっぺんに手加減なしのゲンコツをしてもらったことがあります。稲盛さんは若いときに空手をされていたそうで、そのガツンという強烈な痛みは、いまだに忘れることができません。おそらく全国の塾生のなかでも、稲盛さんから手加減なしの本気のゲンコツをいただいたことがあるのは私だけでしょうから、今となってはその思い出は宝物です。
稲盛さんの印象は、こう言っては失礼になるかもしれませんが、直接お会いした限りは“普通のおっちゃん”という感じで、特別に後光が差しているわけではありません。「これだけ普通の人なのに、なぜそんなに力が出せるのか」と不思議でしたが、それが稲盛さんのすごさなのかもしれません。
経営体験発表などでは厳しいお言葉をいただくこともありましたが、接している限り塾生に対しては非常に優しい方でした。偉ぶったりもせず、人間としてとても大きな方だったと思います。その稲盛さんが2019年末に盛和塾を閉じられるときに、「教えられることはすべて教えました。今度はあなたたちが、現場でしっかりと稲盛哲学を伝えていってください」とお話されていました。その言葉を受けて、私は現在、稲盛さんの教えを自分の職場や地域に落とし込んでいく取り組みを行っております。稲盛さんとの出会いは、まさに私の人生を変えていただいたと考えております。
今回の訃報をお聞きして、大変残念な気持ちではありますが、ただ盛和塾を閉じられたときから、いつかこのような日が来ることは覚悟しておりました。今はただ感謝の念とともに、稲盛さんのご冥福をお祈りしたいと思います。
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