2024年11月24日( 日 )

快進撃中の韓国の武器輸出(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

武器輸出で成果を上げている原因とは

韓国軍 イメージ    韓国の武器が世界で高く評価されている一番の原因はコスパであろう。K2戦車やK9自走砲の場合、米国、ドイツ、イスラエルなどで開発された武器と比べて、技術面においては、80~90%の水準であるが、価格は半分くらいであることがメリットのようだ。米国の代表的な武器輸出商品であるエイブラムス戦車1台の価格は110億ウォンもするようだが、韓国のK2戦車は1台あたり80億ウォン程度である。米国のロッキード・マーティンの戦闘機の年間維持費は、約2,000億ウォンであるが、韓国の戦闘機の維持費は1,000億ウォンにもならないという。世界市場で韓国製の自走砲と激しく争っているドイツ製のPzh2000自走砲は1台あたり1,700億ウォンであるが、K9自走砲は1台あたり約70億~80億ウォンあれば購入できる。現在K9自走砲は世界市場の半分くらいのシェアをもっている。K9は韓国が朝鮮半島有事に備えて、北朝鮮との軍事境界線の近くに実戦配備している。最大射程40kmで、1分間に6~8発を発射できる。韓国は01年からK9の輸出を始め、トルコ、ポーランド、インドなど8カ国に輸出した。ライバルのドイツ製自走砲に性能で劣らず、割安の価格が市場で評価されている。北朝鮮の軍事的脅威に対抗するため、継続的な研究開発をしてきたことの賜物である。東南アジアやアフリカなどでは良い武器を購入したくても予算が限られているので、その際に韓国の武器は良い代案になるという。

 このような価格的なメリット以外にも、維持費が安いこと、運用経験が蓄積されていることや、部品調達も容易であることもメリットのようだ。さらに、武器の納品期間が短いことも韓国兵器の強みのようだ。たとえば、ドイツにレオパルト2という戦車を発注すると、納品まで5年はかかる。ところが、K2戦車は3年間に180台を供給予定である。加えて技術移転や現地生産をサポートできる国は韓国しかないようだ。

武器輸出の影と課題

 以上のように韓国の武器は世界的に競争力があり注目されているが、武器輸出には影もある。武器の輸出は自動車や携帯電話の輸出とはわけが違う。武器は人の命と直結するので、死の商人といわれるほど負のイメージが付きまとう。武器輸出は対立関係にある当事国のいずれか一方を選択することになるので、他方からは反発を買い易い。さらに武器は結果的に人を殺傷することに使われるので、民主主義や人権という側面からも議論が多い。

 一方、韓国の防衛産業の課題とは部品の国産化率を上げることだ。とくに戦闘機や戦闘艦艇などの国産化率はまだ低い。競争の激しい防衛産業で世界的な競争力をもつためにはコスパという強みだけではすぐ壁にぶつかる。部品、技術の輸出を含めた多角的な輸出戦略を樹立する必要がある。また、武器輸出には代金回収まで時間がかかるため、輸出を支援するファイナンス制度の確立が不可欠である。

(了)

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