2024年11月24日( 日 )

ウォン急落と急増する訪韓外国人(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

米利上げでウォン急落

ウォン イメージ    米国の連邦制度準備委員会(FRB)の3回にわたる0.75%の利上げで、米韓の金利差は1カ月ぶりに0.75%まで開き、韓国の為替市場と金融市場は大きく動揺している。米国の利上げはウォン安をますます進行させるからだ。外国人はウォンをそのまま保有すればするほど資産価値が目減りすることを懸念し、韓国の株式などを売ってドルを買うことになり、ウォンは急落した。その結果ドル・ウォンの為替レートはアジア通貨危機や世界金融危機のときにしか経験したことのない、1ドル=1,400ウォンを突破した。1ドル=1,400ウォンを超えるようなウォン安は、2009年3月31日以降13年6カ月ぶりのことだ。ところが、米国の利上げはこれで終わりではなく、今年の年末まで合計1.25%の追加利上げが予想されているので、今後ウォンはもっと下がる可能性すらある。

 韓国ではアジア通貨危機の記憶がよみがえり、もしかしたら韓国経済が再び通貨危機に陥るのではないかという懸念が広がっている。韓国のウォン同様、日本の円も米国の利上げで円安が進んでいて、それを食い止めるため、日銀は24年ぶりにドルを売って円を買う為替介入に踏み切った。韓国市場ではウォン安の進行をうけて、外国人投資家が株式を売りに走ったため株価が下がり、国債の長期金利は4%を上回るほどの高水準を維持している。

 このような状況下で、韓国の貿易収支はどうなっているかというと、直近の6カ月間相次いで赤字を計上し、貿易赤字の合計額が300億ドル近くなった。韓国の輸出を牽引する産業は半導体、石油化学、鉄鋼などであるが、ウクライナ戦争やサプライチェーンの崩壊、原材料の高騰などにより輸出が伸び悩んでいるためだ。

 10月1日に韓国産業通商資源部が発表した「2022年9月の輸出入動向」によると、9月の輸出額は前年同月比2.8%増加した574憶6,000万ドルで、輸入は18.6%増加した612億3,000万ドルとなった。これで9月も貿易収支は37.7億ドルの赤字となったわけだ。貿易赤字は今年4月から続いていて、先月まで6カ月間連続である。貿易収支が6カ月間継続的に赤字となったのは、1997年アジア通貨危機以降の25年ぶりのことだ。連続する貿易赤字により今年の貿易赤字の合計額は288億8,000万ドルとなり、過去最大の貿易赤字額となった1996年の206億ドルを上回っている。

 貿易収支がこのように赤字に転じた理由であるが、輸出は23カ月連続増加しているものの、以前の二桁の伸び率から現在の一桁の伸び率に鈍化したことが1つの要因だ。さらに、輸出は伸び悩んでいる一方で、エネルギー価格の高騰により輸入額の増加率はずっと二桁なので、赤字額を膨らませ続けている。輸出はそれほど大きく伸びないなか、輸入額は6カ月連続600億ドル水準が続いている。先月の原油・天然ガス・石炭など3大エネルギーの輸入額は、179億6,000万ドルで、前年同月比で81.2%も増加した。

(つづく)

(後)

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