2024年12月22日( 日 )

【BIS論壇No.394】日本の大学・世界ランキング急沈下

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 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は10月28日の記事を紹介する。

大学生 イメージ    自民党の旧統一教会との驚くばかりの癒着に代表される近年の日本の政治・経済の世界での衰退ぶりには、目を覆うばかりだ。

 経済面でも、本年4月からの上半期の日本の貿易赤字が過去最大の11兆円に達し、一年で20兆円を超える赤字となる勢いである。日本人1人あたりに換算すると、1人あたり国富約20万円が外国に流出するという憂慮すべき事態だ。

 通貨高競争においても先進国では日本一国が取り残されており、金利は米国3.5%、カナダ2.5%、韓国3%、英国2.25%、ユーロ圏1.25%と比較して、日本が唯一マイナス0.10%という超低金利だ。ドル独歩高のなか、円の弱さが目立っている。今年初めから10月中旬にかけてタイ・バーツやインドネシア・ルピアに対しても日本円は1~2割下げ、世界が驚いた。食料・エネルギー危機の深刻化で、円安は国民の生活にさらなる悪影響を与えつつある。

 日本人の賃金は過去20年で3%しか増加しておらず、お隣の韓国の40%増、米国の30%増に比べ、日本は途上国並みの低賃金国に落ちぶれつつある。

 政治・経済のみでなく、国の根幹たるべき教育分野において、とくに大学の衰退ぶりは目も当てられない。このままだと、日本は教育分野から衰退を加速化させるのではないか。アジアを中心に外国の有識者が日本のことを「年老いたゴールドメダリスト」「衰退途上国」と揶揄するのもさもありなんと思われる。日本の「政・官・財・学」の抜本的な対策と改革が強く求められる。

 英国教育専門誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』(THE)がこのほど「2023年の世界大学ランキング」を発表した。今回は104の国・地域の1,799大学を対象とし、教育、研究、知識移転、国際的展望の4つの分野での教育機関のパフォーマンスを測定している。

 同ランキングで日本の大学の順位は急降下している。10年前と比べると格段に評価が下がっており、日本の教育は由々しき事態に立ち至っている。だが文科省を始め関係者の危機感は希薄だ。

 以下、世界でトップ10の大学と、日本の大学の順位である。

1位)オックスフォード大学(英)
2位)ハーバード大学(米)
3位)ケンブリッジ大学(英)
4位)スタンフォード大学(米)
5位)マサチューセッツ工科大学(米)
6位)カリフォルニア工科大学(米)
7位)プリンストン大学(米)
8位)カリフォルニア大学バークレー校(米)、
9位)イェール大学(米)
10位)インペリアル・カレッジ・ロンドン(英)

 アジアのトップは清華大学(中国)の16位。次はシンガポール国立大学の19位。日本の大学ははるかに下位で、東大39位、京大68位という情けない状態だ。つづけて東北大学 201~250位、大阪大学251~300位、名古屋大学301~350位、東京工業大学301~350位、北海道大学501~600位、九州大学501~600位、慶応義塾大学801~1000位、近畿大学801~1000位、立教大学1001~1200位、早稲田大学1001~1200位の順位帯に位置し、下位に沈んでいる。まさに憂慮すべき状態だ。


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

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