2024年11月23日( 土 )

空き部屋悪用した窃盗で起訴、空き家対策急務

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mansion 空き家の増加が治安悪化や犯罪発生を誘発すると言われ、空き家を利用した犯罪のニュースを近年目にするようになった。福岡地検は6月11日、マンションの空き部屋を悪用した窃盗などの罪で住所不定、無職の容疑者を福岡地裁に起訴した。犯罪の実行場所に悪用された空き部屋は福岡ではなかったが、防犯の面からも空き家対策が急がれる。
 起訴されたのは、劉金龍容疑者(27)。起訴状などによると、劉容疑者は、氏名不詳者と共謀のうえ、2014年9月、不正に入手したクレジットカード番号を利用して他人になりすまし、ネット通販で注文したデジタルカメラなど6点(合計約16万円)の配達先を大阪市東成区のマンション空き部屋に指定して、同月19日、空き部屋前で商品を受け取って商品を盗んだとされる。

 空家対策特措法が施行されて半年。全国で空き家は約820万戸にのぼり、防犯や保安、衛生、景観、周辺生活環境などの面から地域の大きな問題になり、空き家対策が求められてきた。
 空家対策特措法では、市町村が空き家を調査し、データベース化するとともに、保安上危険な空き家などの「特定空家等」に対して、除却を命じるなどの強制措置がとれるようになると同時に、所有者には固定資産税の減額措置から除外されることになった。

福岡市で古家空家調査連絡会がスタート

 福岡市では、一般社団法人古家空家調査連絡会(長谷川美枝子代表理事)が今年1月結成され、社会福祉士や弁護士、司法書士、税理士、建築士、工務店・不動産会社などの専門家が連携、協力して、不在時のトラブルの未然防止や家屋の維持管理のサポートに動き出した。
 オーナー目線に立って、古家・空き家の価値を見出し、ワンストップで、解決策を提案するのが特徴だ。

 業務内容は、空き家の現状調査、賃貸情報提供、固定資産税・不動産売買などの税務相談、不動産売買の適正化、解体や古家の部材の再活用、入院計画の作成や成年後見制度の紹介など、
 福岡市でも、子どもたちが独立して東京や大阪に住んでいて、ご両親が施設に入所したり亡くなったりして空き家になるケースがあり、さまざまな問題が顕在化していた。
 連絡会理事の中川次郎氏は「放置していれば、建物は人が住んでいる時以上に古くなっていくので、再活用が難しくなる。長期に空き家が続けば、犯罪を誘発しかねない」と語る。設立以来、問い合わせが相次いで、40~50件の相談を受けている。すでに約10件の見守りサービスを引き受けている。

 今後、市に対し、地域と協力して、空き家マップづくりなどを共同事業として提案しようとNPOと相談、準備を進めている。

 問い合わせは、古家空家調査連絡会(福岡市博多区博多駅前2-19-29博多相互ビル5階)、電話:092-419-1110。営業時間は、月曜~金曜の午前9時~午後6時。

【山本 弘之】

 

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