2024年11月25日( 月 )

西日本シティ銀行内部事情、常務が募金強要?(5)

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nisisitexi 西日本シティ銀行行員が告発した常務執行役員の出身大学の100周年記念事業をめぐる募金について、全体像を知るべく、同大学に取材した。
 同大学とは、西南学院大学である。
 今回の投書について、同校総務部は「事実関係を確認していないので、コメントを申し上げる立場にない」と語った。

 学校法人西南学院は2016年に創立100週年を迎える。記念すべき節目にあたり、すでに14年3月から講演会や記念式典、コンサートなど様々な事業が展開されている。100周年記念事業の計画では、事業費見込総額172億円、そのうち募金目標額が30億円、自己資金総額142億円と設定され、募金期間は2013年7月から2017年3月末までの3年9カ月間。募金目標額30億円については、「同窓会など関係組織と学院側が協議し、理事会で決定された」と同校総務部はいう。13年7月より、教職員など学内向けに、募金活動がスタート。13年12月に「募金事業ホームページ」を開設、また西南OB向けに寄付を募る書面を送付するなど学外への活動を広めている。100周年事業委員会を中心に、企業への働きかけも行っている。

 目標金額の30億円がどのように設定されたかは明らかになっていないが、現在、寄付された募金の総額は約3億5,000万円だという。募金活動開始から、約2年経過し、計画の半分を過ぎている現状では、あまりに大きすぎる目標だったのかもしれない。目標額達成のためには、年間平均8億円の募金を集める必要があるのだが、学院側の本気度は予算報告書からは伝わってこない。2014年度予算書をみると、寄付金収入の予算額は約7,700万円。そのうち、100周年記念事業募金を含む、使途を特定した特別寄付金は約2,380万円と少ない。確かに、寄付金収入全体は募金活動を開始した13年7月以降増加傾向にあるのだが、それでも目標額までは大きな開きがある。目標額に大きく達しない場合は、事業の変更など協議会を経て、理事会での決定となる模様だ。

 募金集めに関しては、同窓会のバックアップが大きく関与すると予想される。同窓会会員は西南学院大学の卒業生9万人弱で構成される。地域別、職域別支部が全国にあり、支部数は70を超える。同窓会の事業活動収支決算を見ると、2014年度に同窓会の基金より取り崩し、100周年事業へ寄付金5,000万円が支出されている。同窓会からの支援も受けているようだ。「同窓会からの寄付行為は委員会からの要請があり、各支部の評議員の承認を経ている」と同窓会事務局。

 さて、渦中の西日本シティ銀行との関係を「カネ」と「ヒト」でみてみよう。まず、西日本シティ銀行の常務執行役員2名が同校OBに宛てたお知らせには「当行は西南学院のメインバンク」、「当行支部は同窓会の中で最大」「特に親密な関係」とある。通常、メインバンクは企業にとって、もっとも多くの融資をしている銀行であるが、西南学院の14年3月期の決算では、借入がない。では、預金先はどうか。同期の現金預金56億8,500万円のうち、多くを預けているのが西日本シティ銀行なのだろう。また事業収入の大部分を占める学生からの授業料、入学金などの振込先の多くが西日本シティ銀行となっているのだろう。

 ヒトはどうか。「当行支部は同窓会の中で最大」とあるように、西日本シティ銀行には西南学院出身者は多いとみる。実際、毎年約30名もの卒業生が西日本シティ銀行から採用の内定をもらっている。金融関連では、福岡銀行に次ぐ内定者数の多さだ。学院の就職課にとっても、銀行の人事課にとっても外せない見込み先となっている。

 以上のような、親密な繋がりが今回の強要まがいな行為につながってしまったのかはわからない。繋がりが強ければ強いほど、依頼にしろ、要求にしろ、程度は大きくなる。ましてや、母校で有力取引先の100周年ともあれば、どうにかして募金を集めようという心理が働いたのかもしれない。活動の趣旨や目的に賛同してもらえるような工夫が文面から伝わってこないのが残念だった。

(つづく)
【特別取材班】

※西南OBのみなさま、ご意見をお待ちしております。

<COMPANY INFORMATION>
取締役頭取:谷川 浩道
所在地:福岡市博多区博多駅前3丁目1番1号
設 立:1944年12月1日
資本金:857億円
TEL:092-476-1111

 
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