福岡から世界へ、世界で１つのカバンで世界一に（中）

（株）ポルコロッソ　代表取締役　池田　達昭　氏

　「カバンのオーダーで世界一」を掲げ、福岡よりバッグ、革小物、見廻り品の卸売、小売、さらにインターネットによる通信販売を展開する（株）ポルコロッソ。自社での制作の工程は、国内で行う純国産を徹底する。同社は業界内において、どこよりも早くインターネットによる通信販売を立ち上げ、事業化に成長させた第一人者として認知されている。同社の歩んで来た道と現在、そして将来像について、同社代表取締役の池田達昭氏に語っていただいた。

（聞き手：弊社代表・児玉　直）

インターネット通販の先駆者として

　──その閉店セールのなかで、革のカバンのオーダーの活路を見出したのですね。

　池田　おかげさまで、革のカバンのオーダーの仕事の将来性を見ることはできました。福岡玉屋さんの閉店後は、革のカバンのオーダーのみで事業展開を計画しました。まずは地元の岩田屋さんに提案させていただき、「難しいかな」と予想していたところ、弊社の提案が採用され、1999年11月３日にスタートいたしました。その後も百貨店を中心として展開を行いました。

　そのようななかで、税理士から「パソコンを購入されてはいかがですか」とアドバイスを受け、購入しました。当時はパソコンの知識はほとんどなく、手探りで勉強しながら操作や仕組みなどを学びました。そのようななか、楽天さんがインターネットでのショッピングモールを展開させていました。インターネットでの通信販売の黎明期であり、発展途上の時代でした。月間に５万円のコストで出店できたので、負担は重くないのでインターネット通販のサイト「楽天市場」へ出店を実施しました。まだ未知数な分野であったネット通販でしたが、それでも弊社の商品は大盛況となりました。
　岩田屋さんもそうでしたが、革のオーダーのカバンという目新しさが功を奏したこともあったと思います。そこで百貨店の展開からネット通販へシフトし、店舗も百貨店から撤退し、直営店での販売を立ち上げました。

若手の職人の登用

　──池田社長の優れた先見の明によって、事業が順調に推移し受注も拡大されました。それにともない、商品の供給はいかがでしたか。

　池田　通常は、注文を受けて約３週間でお客さまに届けておりました。その後、ネット通販での受注が拡大し、当時は提携した外部の工房で制作を依頼（外注）しておりました。当初は、お客さまのリクエストに基づいた声に対し、確実に応えるカバンをつくっていたのですが、受注が増大して最長で13週間待ちという事態となり、工房の生産力では供給が追いつかなくなりました。工房側も、こちらからのリクエストに応えることができなくなり、お客さまからのクレームが増加し、今後の展開の修正を迫られました。
　そこで、外部に依頼せずに自社で制作をすることを決めました。当時の社員の同級生が東京でカバン職人の修行を積んでおり、その人が福岡に帰って来ると聞き、一度作品をつくってもらって実力を見ました。その結果、弊社のスタッフとして採用し、制作の責任者のポストに就かせて、自社生産の体制を整えました。そして一昨年（2013年）10月に自社ブランドを立ち上げました。それまでの実績による販路があり、また売れ筋を把握していたこともあって、計画より１年前倒しで良好な業績を上げることができました。それにより職人の育成の強化を行っております。

（つづく）
【文・構成：河原　清明】

＜COMPANY INFORMATION＞
代　表：池田　達昭
所在地：福岡市博多区博多駅前3-4-8
設　立：1998年12月
資本金：6,005万円
売上高：（14/8）５億2,000万円
ＴＥＬ：092-409-8960
ＵＲＬ：http://www.porco-rosso.co.jp/