2024年11月28日( 木 )

来年の台湾総統選、女性候補者同士の一騎打ちに

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taiwan 台湾与党・国民党は、19日の全国代表大会で、立法院副院長の洪秀柱氏を党の公認候補として指名した。これにより、来年1月の次期・台湾総統選は、女性候補者同士の事実上の「一騎打ち」となることが確定した。野党・民進党は女性代表の蔡英文氏を早々に擁立。蔡氏は前回、総統選に出馬し敗れたが、今回の出馬は周囲からの強い要請があってのものだった。

 一方、与党・国民党は、馬英九・現政権の支持率急落の影響から、朱立倫首席ら、他の「有力」とされる候補者はことごとく不出馬の意向を表明してきた。与党のポジションにいながら、候補者が「出ない」という状態は世界的に見ても珍しいケースで、台湾世論は、朱氏らに対して「意気地なし」などと批判の声を向けていた。その中で、名乗りを上げたのが、女性の洪秀柱氏だ。全国代表大会での指名を受けた洪氏は「国民の期待を受け、勇気を持って、責任を引き継ぎたい」とコメントした。中国大陸との関係については「台湾の利益を最優先に考え、両岸関係の平和的発展を推進する」と、無難にまとめた。

 蔡氏は中国大陸からの独立、洪氏は大陸との協調を軸としているが、台湾総統選挙には、中国大陸との関係性のみならず、経済状況、国際的な位置づけなど様々な要素が絡み合う。現総統の馬英九氏も圧倒的強さで当選を果たしたものの、支持率は急落したままだ。今月中旬には、外交関係のあるドミニカ、ハイチ、ニカラグアを訪問、アメリカでは母校ハーバード大学で座談会を開いたが、台湾国内での存在感は薄れている。

 台湾メディア関係者は「メルケル氏(ドイツ首相)の活躍などで女性政治家の好印象は強まっている。台湾では、政治だけでなく、社会全体に女性進出の雰囲気が強まっている。今回は蔡氏が優勢だが、国民党はスキャンダル創出も含め、選挙前にあらゆる手を打ってくる傾向が強い」と話す。
 野党・民進党に追い風が吹き、蔡英文氏の「優勢」は揺るいでいない。「女性候補者同士の対決」の図式は世界から注目を集めるだろうが、対抗馬の洪氏がどこまで旋風を巻き起こすかがポイントとなりそうだ。

【杉本 尚丈】

 

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