ソフトバンクの孫氏と楽天の三木谷氏のスポーツ投資の違い(前)
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パシフィック・リーグで福岡ソフトバンクホークスが2年ぶりに優勝した。昨年は後半に失速したが、今年は後半に連勝を続けた。首位を走っていた東北楽天ゴールデンイーグルスは後半に失速し、明暗を分けた。経営母体であるソフトバンクグループ(株)の孫正義会長兼社長と楽天(株)の三木谷浩史会長兼社長には、スポーツ投資の手法に違いがある。孫氏はヨットのアメリカズカップ、三木谷氏はサッカーのFCバルセロナに投資している。
巨額の報酬を得ているスーパースターたち
7月13日、東京・二子玉川の楽天の本社オフィス「楽天クリムゾンハウス」で開催したFCバルセロナとのパートナーシップの記念イベント。楽天の三木谷浩史会長兼社長とともに、サッカー界のBIG5が壇上に並んだ。
リオネル・メッシ(アルゼンチン代表FW)、ネイマール(ブラジル代表FW)、ジェラール・ピケ(スペイン代表DF)、アルダ・トゥラン(トルコ代表MF)らFCバルセロナに所属する主力4選手のほか、楽天が運営するJ1・ヴィッセルに加入した元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキも同席した。翌日のスポーツ各紙はこの写真を一面にデカデカと掲載した。
彼らはプロアスリートの稼ぎ頭の面々だ。米フォーブス誌の「世界で最も稼ぐスポーツ選手2017」によると、メッシは世界3位の87億円、ネイマールは18位の41億円を稼ぐ。1位はレアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドの102億円だ。
今年8月、ネイマールはバルセロナからパリ・サンジェルマンに290億円で移籍して、大騒動が持ち上がった。ネイマールの人気はメッシ以上といわれている。パートナー契約を結んだばかりの楽天にとって、最初の誤算となった。
ユニフォームの胸に「RAKUTEN」の文字を入れるのに257億円
楽天は2016年11月16日、スペインのサッカーチーム、FCバルセロナとパートナー契約を結んだ。2017/18年シーズンから4年間、世界一有名な赤と青の縦縞ユニフォームの胸に「RAKUTEN」の文字が躍ることになる。楽天は4年間に257億円を支払う。
現地取材したスポーツライターの大西康之氏は「なぜ楽天はFCバルセロナに257億円払うのか」(東洋経済オンライイン16年11月17日付)に、驚きをこう書いた。
〈FCバルセロナが新しいスポンサーを探していることは周知の事実だったが、ネットやスポーツ紙に浮上していたのは中国の「アリババ」や米「アマゾン・ドット・コム」で、楽天の名前はなかった。〉
土壇場での大逆転。破格の契約に関係者は驚いた。4年間に257億円。サッカー史上最高規模のスポンサー契約だ。
この大型契約に、三木谷氏のライバルだった元ライブドア社長で、ホリエモンこと堀江貴文氏がTOKYO MX「5時の夢中」に出演し、楽天が所有するJ1のヴィッセル神戸に投資するのが筋と批判した。スポニチアネックス(16年11月26日付)が伝えた。〈バルセロナの選手のギャラが高額になっていると推測し、バルセロナのクラブを「バブル。バブってる」と表現。「スッ高値のところを買いに行くなんてダメでしょう」と投資する価値について疑問を呈し「ヴィッセルはどちらかというと底値。どちらがバリュー投資かといえば、Jリーグに投資した方が5年後、10年後に価値が上がっている」と力説した。〉
年間に日本円で約71億円という巨費は、楽天の広告・販促費合計全体(2016年12月期)の約6%を占める計算だ。同期の営業利益779億円だった楽天にとって、財務的負担は小さくない。RAKUTENブランドを世界に浸透させるのが狙いだが、苦戦が続いてきた海外事業への効果については疑問符がつく。
(つづく)
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