【中国総領事】中国式現代化の建設と中日関係(前)
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中華人民共和国駐福岡総領事
律 桂軍 氏日中両国は9月に国交正常化50周年を迎え、中国はその翌10月に共産党全国代表大会を開催し、今後5年間の方針および人事を決定した。中国駐福岡総領事の律桂軍氏によると、同大会で定めた方針を理解するキーワードの1つが現代化であるという。中国の目指す現代化と、今後の日中関係の展望について、律氏に寄稿していただいたので掲載する。
10月22日、中国共産党第20回全国代表大会が成功裏に閉幕しました。大会では過去5年間および新時代の10年の活動を振り返るとともに、現在と将来の一定期間に関する党と国家の大政方針と青写真を決めました。そのなかで、これから中国の中心的な任務は、社会主義現代化強国の全面的完成という、2つ目の100年奮闘目標を実現し、中国式現代化によって中華民族の偉大な復興を全面的に推進するということが指摘されました。この中国式現代化には、5つの特徴があります。
1つ目の特徴は、巨大な人口規模の現代化です。現状の中国は、14億余りの人口規模をもち、資源面や環境面においても大きい制約があります。他国をまねして現代化を進めることはできません。発展の道筋や進め方は、独自の方法でなければなりません。
2つ目の特徴は、全人民が共に豊かになる「共同富裕」を目指す現代化です。これは、中国の特色ある社会主義の本質的な要請であり、格差の拡大は防がなければなりません。すべての人々がより良い生活を送れるようになることを目指します。この共同富裕は平均主義ではなく、ましてや裕福な人の財産を奪い取って貧困層を救済することでもありません。また、この共同富裕は長い歴史のプロセスで実現されるものであり、容易に達成できるものではありません。それでも私たちは、これまで強い意志を持ち続けながら、目標に向かって邁進した結果、この10年で1億人近い貧困層すべてを、貧困から脱却させました。これは、共同富裕の好事例といえるでしょう。
3つ目の特徴は、物質文明と精神文明のバランスがとれた現代化です。一部の国で進められた現代化には、行き過ぎた物質主義の膨張という弊害がありました。私たちが求めるのは、物質的にも精神的にも豊かな、人間の全面的な成長です。
4つ目の特徴は、人と自然が共生する、調和がとれた現代化です。現代の世界史をみると、工業化や都市化のなかで、生態環境が破壊されるという共通の弊害がありました。私たちも回り道をしましたが、2012年第18回全国代表大会以来、生態環境破壊の勢いを食い止めてきました。今後とも、持続可能な発展の道を着実に進んでいきます。
5つ目の特徴は、平和的発展の道を歩む現代化です。我々は、戦争、植民、略奪などの手段で現代化を実現したかつての一部の国の道を歩みません。私たちは、平和、発展、協力、Win-Winを旗印とします。これは私たちの制度と文化によって決定づけられたものであります。平和的発展の道を歩むことは、中国の根本的利益にかなうことで、私たちは今後もこの道に沿って歩み続けます。私たちは、他の国々にも、この平和的発展の道を歩んでほしいと思っています。
社会主義現代化強国の全面的完成に向けた戦略構想は、全体で二段階に分かれています。2020年から2035年までに社会主義現代化を基本的に実現し、2035年から今世紀半ばまでに中国を富強・民主・文明・調和の美しい社会主義現代化強国に築き上げる、ということです。
(つづく)
<プロフィール>
律 桂軍(りつ・けいぐん)
1967年生まれ。99年中華人民共和国駐日本国大使館アタッシェとして着任。以後、中国外交部アジア局処長(課長)、駐日本国大使館参事官、外交部アジア局参事官、駐シドニー総領事館副総領事、駐日本国大使館公使参事官を歴任。2020年6月、駐福岡総領事に着任。関連記事
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