【中国総領事】中国式現代化の建設と中日関係(後)
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中華人民共和国駐福岡総領事
律 桂軍 氏日中両国は9月に国交正常化50周年を迎え、中国はその翌10月に共産党全国代表大会を開催し、今後5年間の方針および人事を決定した。中国駐福岡総領事の律桂軍氏によると、同大会で定めた方針を理解するキーワードの1つが現代化であるという。中国の目指す現代化と、今後の日中関係の展望について、律氏に寄稿していただいたので掲載する。
中日関係にとって、大会の報告で示された計画とアレンジは、世界の平和と発展、そして中日友好協力関係の発展にとって重要なチャンスです。
第1に、中国は世界の平和と安定にとってのプラス要素を増やし、中日友好協力発展に新たな原動力を注ぎます。中国は終始一貫して世界平和を維持し、共同発展を促す外交政策と指針を堅持し、人類運命共同体を築きあげます。親睦・誠実・互恵・包摂および善隣友好を旨とする周辺外交の方針を堅持し、周辺諸国との友好・相互信頼関係、利益の融合を深化させます。これらの政策の公示を通じて、中国式現代化の建設と中華民族の偉大なる復興は、世界平和と安定の要素そのものだと示されています。同時に、中国が地域と世界の平和・安定にさらなる貢献をし、中日友好協力関係の発展にも、戦略的な利益をもたらすことを示しています。
今年は中日国交正常化50周年です。50年来、両国は利益の共同体、発展の共同体になっています。最近、習近平国家主席と岸田文雄首相は、電話会談を行い、祝電を交わしました。習主席は祝電で、「私は中日関係の発展を非常に重視しており、岸田首相とともに、国交正常化50周年を契機に、双方が潮流と大勢に順応し、新しい時代の要請にふさわしい中日関係の構築に共に尽力するよう導いていきたい」と強調しました。両首脳は、改めて新時代の中日関係の構築という重要なコンセンサスを確認しました。中国は、日本とともに両首脳が達成した重要なコンセンサスを実行に移し、中日友好協力を促進し、新時代の中日関係を築き、アジア運命共同体と人類運命共同体の構築にさらに力を入れます。
第2に、中国は日本を含む世界各国に共同発展、共同繁栄のチャンスを提供します。我々は国内大循環と国際大循環という2つの循環をスムーズにし、発展における内部の成長力と外部の活力を促します。双循環というのは、決して閉鎖的な循環ではなく、ハイレベルの対外開放の基礎の上に構築された国内外の双循環を指しています。当面の厳しい国際情勢のもとでも、日本を含む海外投資家は、依然として中国市場に期待を寄せ、引き続き投資を拡大しています。今年1月~9月の9カ月間における中国の外資導入額(実行ベース)は、前年同期比で18.9%増加しました。そのうち、ハイテク製造業への投資額は48.6%の伸びになっています。
第3に、中国は日本を含む世界各国に、中国の大市場のチャンスを共有します。全国統一の大市場の建設を加速し、内需拡大戦略を推進します。積極的な財政政策と穏健な金融政策を継続的に実施します。また、インフラ投資を適度に先行させます。金融機関が実体経済、とくに小規模企業、零細企業、科学イノベーション、グリーン発展への支持を増やします。知的財産権の保護を強化し、企業の成長を促す良い競争環境をつくり上げます。中国の人口14億人のうち4億人余りが中間層になっています。今や中国は、全世界が注目する超大消費市場に成長しました。全国統一の大市場建設のプロセスにおいて、中国は日本をはじめとする世界各国に、必ずや巨大市場を提供し続けることができます。
第4に、中国は日本を含む世界各国に、中国の制度型開放のチャンスを共有します。習主席は、第5回中国国際輸入博覧会の開幕式において、「我々は開放によって発展が直面する困難を和らげ、開放によって協力する力を結集し、開放によって革新の勢いを凝集し、開放によって共有する幸福を目指し、経済グローバル化が絶えず前進するよう後押しする」と強調しました。我々はハイレベルの対外開放、制度型開放を着実に拡大し、規則・規制・管理・標準など制度的な開放を推し進めます。外資企業の優遇措置を実行し、より多くのグローバル企業による投資を誘致し、大型外資プロジェクトを一層促進していきます。大会閉会後、外資系企業の投資に対する優遇政策が次々に打ち出され、継続的なビジネス環境の最適化、外資系企業による投資促進とサービスの全面的な強化措置を発表しました。これらの政策によって、外資企業による投資奨励の分野を拡大し、先進的製造業、現代型サービス業、ハイテクノロジー、省エネルギー・環境保全、中西部と東北地区への投資もより大きな政策支持が得られました。一連の政策の相乗効果で、在中国日本企業に、より大きな成長の空間をつくり出していきます。
第5に、中国は日本を含む世界各国に国際協力を深めるチャンスを共有します。中日双方とほかの国の努力のもと、世界最大規模の自由貿易圏のRCEPが年初に発効し、順調に進められています。中国は、WTOの組織改革の交渉に全面的に参与し、貿易と投資の自由化・便利化を進め、国際マクロ経済政策の協調を促し、世界発展に大きく貢献します。また、CPTPPとDEPAに積極に加入し、世界向けの高い基準の自由貿易ネットワークを拡大します。
九州・沖縄は古くから中日協力の最前線にあり、中国との交流・協力関係には深いものがあります。中日国交正常化以降の50年、九州と中国の交流協力は、多くの成果を収めました。中国は日本の、そして九州の最大の貿易相手国となり、主要な投資目的地にもなっています。新時代に向けて、九州と中国地方の協力は巨大な潜在力をもっています。九州各界の皆さんには、中国発展と中日関係を客観的にとらえ、次の50年を見据えて、新時代の中日関係の構築に貢献していただくことを期待しております。
(了)
<プロフィール>
律 桂軍(りつ・けいぐん)
1967年生まれ。99年中華人民共和国駐日本国大使館アタッシェとして着任。以後、中国外交部アジア局処長(課長)、駐日本国大使館参事官、外交部アジア局参事官、駐シドニー総領事館副総領事、駐日本国大使館公使参事官を歴任。2020年6月、駐福岡総領事に着任。関連記事
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