2024年11月20日( 水 )

持続可能な環境社会への移行を目指す~日伊フォーラム開催

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環境分野での日伊の経済交流

 「日本・イタリアの持続可能な環境社会・経済への移行」をテーマにした第10回日伊フォーラムが12月15日、綱町三井倶楽部(東京都港区)で開催された。主催は日伊経済連合会、共催はイタリア農業連盟(CIA)で、オンラインを含め約100名が参加した。

日伊経済連合会副会長・明倫国際法律事務所代表弁護士の田中雅敏氏
日伊経済連合会副会長・
明倫国際法律事務所代表弁護士の
田中雅敏氏

    第1部のオープニングスピーチに立った同会副会長で明倫国際法律事務所代表弁護士の田中雅敏氏は、「イタリアの製品やブランドには、人を引き付ける魅力があり、日本企業はこの数字に出ない価値から学ぶべきところがあります。日伊両国が食料、エネルギー分野で経済交流を深めることで、国際競争力を高め、世界市場で新たな挑戦ができると考えています」と語った。

日伊経済連合会会長・ディサント(株)代表取締役のディサント・ダニエレ氏
日伊経済連合会会長・
ディサント(株)代表取締役の
ディサント・ダニエレ氏

    同会会長でディサント(株)代表取締役のディサント・ダニエレ氏は『日伊フォーラムの役割と両国の共通課題におけるシナジー、課題と挑戦』と題した講演を行い、「ウクライナ危機でエネルギーコストが増大し、資源に乏しいイタリアと日本はエネルギー問題に深い関心を寄せています。今こそ持続可能な環境社会に移行することが求められています」と述べた。同氏の講演によれば、今回の日伊フォーラムの主な目標は3つあるという。1つ目は、両国が共通の関心をもつ環境・テクノロジー・デジタル分野で革新的なプロジェクトを推進するため、政治的ビジョンを共有し、関連機関からのお墨付きを強化することだ。2つ目は、両国の長所を統合することで経済交流における相乗効果を出し、両国が世界に重要な役割を示せるよう、両国の企業間あるいは団体間で共通の作業を行える環境をつくることだ。3つ目は、2025年の大阪万博などのイベントにおいて、イタリアは、開催国である日本が付加価値を生み出す上で重要な役割をはたすことができると考えており、両国の経済交流における相乗効果を高められるよう作業を進めることだ。

 第2部のオープニングスピーチでは、駐日イタリア大使のジャンルイジ・ベネデッティ氏が「今日の技術をもって持続可能な社会に移行することは可能であり、グローバル経済を持続可能な仕組みに変えていくうえでは、消費者の意識改革が必要です。再エネの普及により、イタリアの再生可能エネルギー企業が日本への事業展開を行う優れた機会となっています。持続可能な食料を生産する農業の取り組みとして、イタリアでは農薬や化学肥料を削減することが注目されています。日本とイタリアがこれらの分野において協力できる機会は限りなくあります」と語った。

駐日イタリア大使のジャンルイジ・ベネデッティ氏
駐日イタリア大使の
ジャンルイジ・ベネデッティ氏

    続いて、衆議院議員でグローブジャパン事務総長を務める鈴木馨祐氏とグローブイタリア会長のマテオ・ファベロ氏が、日本とイタリアの地球環境国際議員連盟の活動について対談した。イタリア政党「五つ星運動(M5S)」エコロジカルトランジション推進委員会スポークスパーソンのジャンニ・ジロット氏はオンライン講演を行い、集合住宅や住宅地の区画、企業などの小さなコミュニティが、電力利用地の近くで再エネを共同発電して消費する仕組みを築く「再生可能エネルギー・コミュニティ法案」について解説した。節電や蓄電池の利用、電力消費量や生産量のデジタル制御などを用いて、電力利用の効率化を図るという。

 また同フォーラムでは、イタリア農業連盟会長のクリスティアーノ・フィーニ氏をはじめとして、イタリアの業界・政府関係者がオンライン講演やビデオメッセージ配信を行った。

【石井 ゆかり】

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