2024年11月24日( 日 )

パク大統領の「統一」発言、韓国で波紋

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cn 韓国のパククネ大統領が「南北統一は来年起きる可能性がある」と述べたという報道が、韓国国内では波紋を広げている。この発言は、7月、大統領府での非公式会議で出てきたもので、パク氏はその中で「北朝鮮で影響力を持つ人物が亡命してきており、その流れが来ている」と述べたと8月18日に一部で報じられた。

 南北統一は、鎖国状態にある北朝鮮が「開かれる」という点で、好意的にも解釈される点が強そうだが、韓国国内では賛否両論ある。ある韓国人事情通は「人道的には『北朝鮮人民が救われる』ということで統一への賛成意見も多い。しかし、『貧しい北朝鮮の人々の生活を救うために、韓国民の税負担が上がる』という見解がなお根強い。ある専門家によると『5倍以上の税負担になる』とも分析しており、『これ以上の税負担には耐えられない』との反対意見も色濃く残っている」と話す。ただ、一方で、統一のメリットとしては、人口増加による経済活性化、内需の高まり等も挙げられている。

 韓国パク政権は、「韓国が北朝鮮を吸収して統一する」という将来のシナリオを描いているようだが、北朝鮮が掲げる「統一」は武力で韓国を制圧し、北朝鮮がイニシアチブを取るというもの。パク氏の統一発言は「支持率の低さを他の視点にすり替えるために『北朝鮮』を唐突に持ち出した」という見方も広まっている。ある韓国人ジャーナリストは「キムデジュン大統領の時代にキムジョンイル総書記との会談があったが、最近は南北でかなりの距離感が生まれている。南北のトップ同士で実は電話の『ホットライン』があるともうわさされているが、全く使用されていないとも言われている。『中国が間に入って首脳会談や統一を』という声も挙がるが、中国にはメリットが無さすぎる。仮に統一したとしても賃金の違い、文化の違いなどから国内は大混乱に陥るだろう。ここ最近の北朝鮮の威嚇行動で、徴兵された軍人は休暇もなく臨戦態勢に入っている。韓国は国内情勢、北朝鮮の問題ともに、まさに『内憂外患』状態だ」と頭を抱えている。

【杉本 尚丈】

 

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