2024年12月23日( 月 )

山口FG傘下の金融詐欺事件~預貸率が注視される北九州銀行

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【表】は九州地銀(18行)の2022年9月期の貸出金残高・預金残高順位表である。
◆九州18行のうち、預貸率が80%台は福岡銀行など4行。70%台は8行。60%台は1行。50%台も1行。10%台は1行。100%を超えるオーバーローンの銀行は3行となっている。金融グループ(含む山口FG)の4社は適正といわれる80%台となっている。
◆貸出金残高1位は福岡銀行で、11兆4,604億円(前期比▲1,809億円)。総預金残高(含む譲渡性預金)は13兆2,811億円で、預貸率は86.3%。
・2位は西日本シティ銀行で、7兆9,801億円(前期比▲2,559億円)。総預金残高は9兆8,253億円で、預貸率は81.2%。
・3位は肥後銀行で、4兆3,807億円(前期比+3,954億円)。総預金残高は5兆4,047億円で、預貸率は81.1%。
・4位は鹿児島銀行で、4兆374億円(前期比+1,435億円)。総預金残高は4兆8,790億円で、預貸率は82.8%。
・5位は十八親和銀行で、3兆9,776億円(前期比+6,078億円)と大幅に増加。総預金残高は5兆6,443億円で、預貸率は70.5%。合併の効果が出ている。ここまで5行が貸出金残高3兆円以上の銀行である。
◆6位は宮崎銀行で、2兆3,317億円(前期比+682億円)。総預金残高は3兆725億円で、預貸率は75.9%。
・7位は佐賀銀行で、2兆2,190億円(前期比+645億円)。総預金残高は2兆7,900億円で、預貸率は79.5%。
・8位は大分銀行で、2兆6,06億円(前期比+824億円)。総預金残高は3兆5,014億円で、預貸率は58.9%で、みんなの銀行を除き一番低い。ここまでの3行が貸出金残高2兆円台。
◆9位は熊本銀行で、前期比945億円増の1兆9,328億円(同比+5.1%)。総預金残高は1兆6,385億円(前期比+357億円)で、預貸率は118.0%。
・10位は北九州銀行で、前期比425億円増の1兆3,312億円(同比+3.3%)。総預金残高は1兆2,871億円(前期比▲65億円)で、預貸率は103.4%。ここまでの2行が貸出金残高1兆円台の銀行。
◆11位は南日本銀行で、5,807億円(前期比▲74億円)。総預金残高は7,807億円で、預貸率は74.4%。11位以下は預貸金が1兆円を下回っており、上位との差は大きい。
・12位は筑邦銀行で、5,414億円(前期比▲2億円)。総預金残高は8,292億円で、預貸率は65.3%。第一地銀のなかで預貸金のボリュームが一番小さい。
・13位は宮崎太陽銀行で、5,405億円(前期比+54億円)。総預金残高は7,362億円で、預貸率は73.4%。
・14位は福岡中央銀行で、4,276億円(前期比▲55億円)。総預金残高は5,404億円で、預貸率は79.1%。今月11日、ふくおかFGは福岡中央銀行と23年10月1日に経営統合し、完全子会社とする予定を発表している。
・15位は豊和銀行で、4,159億円(前期比▲18億円)。総預金残高は5,767億円で、預貸率は72.1%。
・16位は長崎銀行で、2,717億円(前期比▲42億円)。総預金残高は2,629億円で、預貸率は103.3%。
・17位は佐賀共栄銀行で、1,949億円(前期比▲6億円)。総預金残高は2,477億円で、預貸率は78.7%。
◆18位はみんなの銀行で、29億円(前期比▲1億)。総預金残高は176億円で、預貸率は16.5%。同行は創立して間がないふくおかFG傘下の新しい形態の銀行。

【オーバーローンについて】
◆九州地銀18行のうち、預貸率(貸出金残高>総預金残高)が100%を超えるオーバーローンの銀行は、熊本銀行・北九州銀行・長崎銀行の3行。
・1位はふくおかFG傘下の熊本銀行で118.0%。
・2位は山口FG傘下の北九州銀行で103.4%。
・3位は西日本FH傘下の長崎銀行で103.3%。いずれも金融グループの傘下であり、グループ内で資金調整している。

<まとめ>
 3行ともオーバーローンを解消する努力をしているなか、今月に入り、山口FG傘下の「ワイエム証券」の元社員、赤木将太容疑者(34歳)が、広島県内の高齢女性からキャッシュカードをだまし取り、3,800万円余りを盗んだと報じられた。預金は預金者が銀行を選ぶ。グループ傘下の金融詐欺事件が、今後、北九州銀行の預貸率にどのような影響を与えるかを注視していきたい。

【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】

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