地域の活力とともに育まれる企業経営 糸島の発展に尽くすことを使命として
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旭コンクリート工業(有)
アサヒ商事(株)
代表取締役社長 旭 環治 氏豊かな自然に恵まれた美しいロケーションにお洒落なカフェなどが立ちならび「福岡の湘南」とも呼ばれる福岡県糸島市。糸島ブランドの背景には、惜しみないサポートを続ける地元有志が存在する。旭コンクリート工業(有)・アサヒ商事(株)代表取締役社長・旭環治氏もその1人だ。旭コンクリート工業は1961年3月に糸島市で創業、生コン関連事業を手がけている。旭氏は26歳の若さで2代目社長に就任し、共存共栄の理念のもと、30年以上にわたり堅実に事業展開を推し進めてきた。地域貢献への想いと活動について、話をうかがった。
(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 児玉 崇)
地域性で糸島ブランドを育む
──使命として地域貢献を掲げてらっしゃいますね。
旭環治氏(以下、旭) 当社は、共存共栄の理念を掲げています。自社の利得のみに走るような営業活動はしません。長い目でみるとお客さまにも自社にもプラスにはならないからです。「仕事は面白く、楽しく、真剣に」を社是に、コツコツ堅実に地域に根差した企業として事業を展開してきました。多くの人から支えていただいたおかげで今があります。地域への貢献は恩返しであり使命だと考えています。私自身、楽しいことや賑やかな場が好きだということもあり、糸島市が掲げる“糸島ブランドを生かした産業振興と安住促進のまちづくり”には本業とは関わりなく協力する、というスタンスです。
──糸島といえば第一次産業が盛んなイメージです。
旭 自然豊かな糸島は、第一次産業が要です。たとえば、いちご農家の庄島苺園さんは、妥協することなく15年にわたり品種改良を繰り返し、大粒で非常に甘いレディアという品種を開発しました。今ではお客さんが毎日農園に直接買いにこられ、当日の出荷分が午前中には完売しているようです。
また、洋ラン栽培から転向して観光農園として「いちご狩り」を提供されている池いちご園さん。糸島でのサーフィン文化をけん引したSUNSET(サンセット)の林さん。牡蠣小屋を糸島の冬の風物詩にまで定着させた福吉漁港の佐々木さんや増田さん、阿部さんなど、多くの方のご尽力が重なって現在の糸島ブランドが醸成されています。
また、糸島の鯛の水揚げ量は全国1位ですが、とくに福吉漁港の鯛は一匹一匹を丁寧に〆ているため鮮度が抜群で、高級食材として全国へ発送されています。JA糸島産直市場の伊都菜彩の人気も嬉しいですね。九州最大級の直売施設で野菜、果物、米、糸島牛、糸島豚、花、鮮魚、惣菜、加工品など、糸島産品のあらゆるものがそろいます。2020年度の販売高は39.6億円と、全国のJA直売所のなかで10年以上も日本一を記録しています。
──糸島のブランド化が成功した理由はなんでしょうか。
旭 主な理由の1つは、地域で生活する人々の気質ではないでしょうか。もともと、同級生や先輩後輩、隣人という関係でこの地域は成り立っています。同じ苗字ばかり集まることもあるので、下の名前で呼び合う仲です。濃いネットワークで、良くも悪くもあらゆる情報が早く広く回りますので大変な面もありますが、基本は助け合い、支え合う仲間です。頑張る人の足を引っ張るより、自分の励みにし、みんなで協力し合うという意識が強く感じられます。加えて、外部参入者への受け入れ姿勢も非常にオープンで「よそ者」扱いをせず、頑張っている人は応援したい、自分も努力して、切磋琢磨していこうという空気感があります。それがなければ、今日のような糸島ブランドへの評価には至らなかったかもしれません。
濃い人間関係のなかで問われるのは、社会的地位や立場ではなく「どんな人であるか」という人格です。信念をもち、自分の道をまっすぐ進む強さや純粋さ、周囲の人へ感謝して還元していく姿勢の有無がみられています。最終的には、応援してくれる人や仲間をつくれるか、というところへ行き着くのではないでしょうか。
持続可能な糸島を目指して
──糸島が今後発展していくうえで、重要なことは。
旭 糸島ではあらゆるものを楽しめます。新鮮な食材が自慢の飲食店、お洒落なカフェ、お菓子、映えスポット、サンセットビーチなどがあります。海側はすでに賑やかなので、山手の参入が狙い目かもしれませんね。今までは日帰り観光がメインでしたが、宿泊施設やキャンプ施設ができてきたので、2~3日かけて楽しめるようなプランを打ち出していくことや付随サービスの展開を期待しています。
第一次産業の支え手確保はとても重要な課題です。自然相手の産業は季節ごとの繁忙期がありますので、期間限定での労働力が必要になるのですが、人を確保するのに皆さん苦労しています。外国人労働者の受け入れ体制の確立は急務ではないでしょうか。さまざまな規制や問題があることは承知していますが、人口減少が進む日本国内の人材だけでは難しいことは明らかです。
──今後も糸島の価値を保つために考えていることは。
旭 私自身も年齢を重ねていくなかで、自分と会社を育ててくれた地域に恩返しを、と考えるようになりました。それは経営者としての使命ではないかと思います。私は何事も経験、と考えています。1回でうまくいかないのは当たり前だし、何でも1人でできないのも当たり前。信念をもってひたむきにチャレンジを続けることで道は開けます。当社もそうやって事業を展開してきましたし、多くの人に助けてもらって今があります。この糸島の風土は先をゆく先輩方によって、少しずつ築かれてきたもの。私も微力ながら、糸島発展に尽力し次世代へ繋いでいきたいと考えています。
【文・構成:清家 麻衣子】
<COMPANY INFORMATION>
旭コンクリート工業(有)
代 表:旭 環治
所在地:福岡県糸島市飯原81-1
設 立:1963年1月
資本金:1,000万円
売上高:(22/5)12億8,711万円関連記事
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