浜田和幸ら「羽ばたく想像と創造の世界」日中アート交流展開催(後)
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「日中アート交流展-羽ばたく想像と創造の世界-」が17日まで中国文化センター(東京都港区)で開催されている。日中両国で活躍する廣開氏と浜田和幸氏、および両氏と交流が深い3名のアーティストである画家の金顕芝氏、画家の浜田由美子氏、現代アーティスト作家の山田ゆかり氏による「羽ばたく想像と創造の世界」をテーマにした作品が展示されている。
元気をくれる、日本古来の龍を描く
画家の浜田由美子氏は、米国在住時にアメリカンフォークアートであるトールペイントで知られるスコッティ・フォスター女史に師事した経験があり、トールペイントや日本の四季を描いた風景画、龍をモチーフにした絵画を制作している。トールペイントとは、木製の小物など身の回りにある素材に絵を描いたアートだ。
由美子氏は、「日々の暮らしでどんなことがあっても気にならなくなってしまうくらいに、夢中になって絵を描いています。絵は人の気持ちを動かす力があり、言葉が通じなくても思いが通じるほどに、人類共通の文化であり、その意義は深いです。絵を描くことが喜びであり、絵を通して愛するものの在り方を伝えることが生きがいです」と語る。
由美子氏は、本展示会でドラゴン(龍)をモチーフにした4つの作品を制作した。龍は想像上の動物であるが、私たちに元気を与えてくれる存在であることを多くの人に伝えたいという思いから描いている。
「普段から、よく目にする龍は怖くて恐ろしいイメージが強いですが、やさしくて穏やかで懐が深い、日本古来の龍神さまのイメージが作品を生み出すインスピレーションとなりました。一方、中国の周恩来元首相を研究している法政大学名誉教授の王敏氏から、中国の古代王朝である『夏』の初代国王『禹』の墓の発掘で、穏やかで優しい青い龍が見つかり、その青龍のイメージにぴったり、とうかがいました」(由美子氏)。
また、「芽吹き」など季節で移り変わる大木を描いた作品も展示している。この大木は近所にあり、近隣の人々の心を癒している印象的な「榎(えのき)」がモチーフになっている。「何気ない普段の暮らしのなかでも、私たちは大きな木に励まされ、見守ってもらっていることを伝えたいという思いから制作しました」(由美子氏)。
空のきらめく光を描いた「宵」と「暁」
現代アーティスト作家の山田ゆかり氏は、日々の何気ないときめきを切り取って作品に表現した抽象画を制作している。日中アート交流展のイメージ作品となっている「催花雨」は、花が咲く時の雨をテーマにしており、もうすぐ訪れる春を思い起こす絵画だ。
本展覧会では、山田氏の新作として「宵」と「暁」の2作品が展示されている。「宵」と「暁」は、対になる作品として描かれている。「夜の始まりである『宵』は、星や月のきらめきが活発になり、賑やかになる空を描いています。一方、夜の終わりであり、朝の始まりである『暁』は、日の光で辺りが明るくなり、賑やかだった星や月の存在が薄くなる空を表現しました」(山田氏)。
同じ空でも、「宵」は星や月の光があり、「暁」は日の光が照らしていて、空の色をもたらす光がそれぞれ違う。白色の下に多くの色を何層にも重ねることで光が描かれているため、近くで見ると光の色の深みが伝わってくる。「新作は、色の主張がはっきりしているほかの作品と並べて展示するため、全体の雰囲気も大切にしたいと思い、白っぽい色味で描いています。白は透けるような色味で、後に重ねて塗った色がより見えやすくなることから、星や月、日の光の色の深みを表現しました」(山田氏)。
また、山田氏はモールス信号をモチーフとして最近の作品で取り入れている。新作にも、「Thank you(ありがとう)」の意味のモールス信号である「TU」が刻まれている。
山田氏は「抽象画は見る人に自由に楽しんでほしいと感じていますが、それぞれの絵には解説として絵の場面を描いた詩を載せています。まず作品を見て、詩を読んでからもう一度作品を見ると、最初とは違う捉え方ができるという楽しみもあります」と語る。ぜひ作品を何度も味わってほしい。
今回の展覧会では、画家の東山魁夷に師事し、富士山など日本の自然を題材にした作品を制作している廣開氏と、自然の風景を墨絵で描いている金顕芝氏の作品が展示され、日中アート交流の場となっている。
(了)
【石井 ゆかり】
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