暗号資産市場の基軸通貨、ステーブルコイン(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏激震が相次いだ昨年の暗号資産市場
昨年5月にステーブルコイン「テラUSD」が大暴落し、暗号資産市場に激震が走った。また、昨年11月には世界3位の暗号資産交換業者「FTXトレーディング」が経営破綻し、暗号資産市場に対する投資家の信頼が大きく損なわれた。
暗号資産市場、とくにステーブルコインに対する規制強化が叫ばれているなか、世界最大手の暗号資産交換業者「バイナンス」のステーブルコイン「BUSD」の発行停止命令が発動され、投資家は今後の推移に神経を尖らせている。
「バイナンスUSドル(BUSD)」の時価総額は160億ドルで、ステーブルコイン最大手の「テザー」や「USDコイン」に次ぐ3番手。ニューヨーク州金融当局(NYDFS)はステーブルコイン「バイナンスUSドル(BUSD)」を発行する米仮想通貨関連企業パクソス・トラストに対し、新規発行を停止するよう命じた。パクソスはバイナンスの代わりにステーブルコインを発行している会社だ。米国の証券取引委員会(SEC)もバイナンスのステーブルコインは証券に該当するので、発行の中止を命令したという。
このような流れを受けて、暗号資産市場の時価総額は1兆ドルを下回った。時価総額が1兆ドルを下回ったのは、昨年9月以降初めてのこと。これによって、関連コインは価格の下落と資金の流出に直面しており、直近でBUSD約25億ドルが引き出されることとなった。
ステーブルコインとは
ステーブルコインとは価格の安定性を実現するように設計された暗号資産(仮想通貨)のこと。ステーブルコインは暗号資産交換所においては基軸通貨のように使われたり、DeFiサービスなどで活用されたりしており、現在さまざまなステーブルコインが発行され、その競争は激化している。
ステーブルコインは暗号資産市場で重宝されていて、市場を急成長させている反面、ステーブルコインの急増が金融市場へのリスクとなっており、各国政府は規制に乗り出している。一般的にステーブルコインは顧客が預けた金額に応じて同等規模のステーブルコインが発行される。そして、その後、顧客の資産はドルや国債などの安全資産で保管される。
ステーブルコインは送金に使うと便利である。既存の国際送金に利用されているSWIFTは複数の銀行を経由することになるので送金手数料が高い。しかし、ステーブルコインは両替の必要もないし、手数料も安い。銀行を経由しないで、ウォレットからウォレットへの送金になるので、送金にかかる時間も短い。何週間もかかっていた既存の送金方法に比べ、数分後には送金結果が確認できる。
ステーブルコインは法定通貨と暗号通貨のブリッジとして機能するコインで、暗号資産交換所でコインの取引をする際、自国の通貨をまずステーブルコインに変え、そのステーブルコインで、他のコインを売買することができる。また、ステーブルコインは基軸通貨としての役割を果たすだけではない。ステーブルコインを預けると、利子が発生し、収益ももたらしてくれるのである。
(つづく)
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