2024年11月24日( 日 )

安保法案「反対」に国会前12万人、福岡でもデモ

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安保法案に反対し国会前を埋める人たち=8月30日<

安保法案に反対し国会前を埋める人たち=8月30日

 安保法案に反対する行動で最大規模の12万人(主催者発表)が8月30日、国会前を埋め尽くした。

 世代を超えた市民が、国会議事堂前駅などから国会正門前を目指し、国会議事堂前の駅を降りたところから、人で埋まり、ゆっくりとしか前に進めない。警察側は当初、歩道のみに制限していたが、車道を開放した。それでも、途中で、人の列は前に進むことができなくなり、多くの人が国会議事堂正面のステージまでたどり着かなかった。
 沿道のあちこちに設置されたスピーカーから、ステージのスピーチが届く。「戦争法案、いますぐ廃案!」「廃案!」「安倍政権は、ただちに退陣!」「退陣!」。SEALDs(自由と民主主義のための学生緊急行動)と思われる女性のコールが響く。
 ニューヨークを拠点にしているミュージシャンの坂本龍一氏も現れ、スピーチした。「現状に対して絶望していたが、SEALDsの若者たちの発言に、日本にもまだ希望があると思った」と述べ、市民社会の到来を予言した。「日本国憲法は日本人が戦い取ってきたものではなかったかもしれないけれど、今、まさにそれをやろうとしている。僕たちにとっては、イギリス人にとっての『マグナ・カルタ』であり、フランス人にとっての『フランス革命』に近いものが、今、ここで起こっている」
 「革命に近いもの」は、参加者に同じ気持ちを湧き起こした。
 一人一票実現に取り組む弁護士、市民らも参加した。「そもそも【違憲状態議員】は、安保法を立法する資格がない」と書いた横断幕を高く掲げ、憲法完全無視の異常事態への怒りを示した。

 この日、安保法案に反対する集会やパレードは、国会前の行動に呼応して、全国300カ所以上であった模様だ。
 福岡市では、「戦争法をつくらせない会」が、天神・警固公園で集会を開き、約400人の市民が「天神1周デモ」で、安保法案反対をアピールした。
 市民らは「戦争NO」「STOP戦争法」「アベ政治を許さない」などさまざまなプラカードを手にする。「飛び入り 途中離脱OK」のプラカードも見える。コールには、「民主主義ってなんだ」「これだ」に交じって、「ママは戦争せんと決めとー」「パパも戦争せと決めとー」のフレーズもある。
 2歳の女の子をベビーカーに乗せて参加した主婦(32)は「取り返しのつかないことになると思っている」と語る。安保法案が出るまで、平和に関する集会やデモに参加したことはなかった。「今までは、何とかしてくれるんじゃないかと何もしなかった。今は、政治が完全に暴走している。とりあえず行動しないといけないと思った」。
 デモ出発前の集会で、福岡市の自営業の男性は(51)は、「息子が自衛官です。1人で、安保法案反対のプラカードを持って、街頭に立っています。私の思いはこれです」とスピーチし、「愛する人を戦場に送るな」と書いたプラカードを掲げた。「何の理屈もありません。誰の子どもも戦場に送りたくない。戦争は何の解決にもなりません。9条を、犠牲と悲しみのうえで勝ち取りました。宝物を安倍ごときに奪われてなりません」と訴えた。スピーチの後、取材に「戦地に送られ殺し殺されるために(息子が)いるわけではない。イラク派遣でも、PTSDや自殺が起きているのを考えると、親として夜も眠れない。私ができるせめてもの行動。悔いを残すわけにはいかない」と、胸の内を明かした。

国会前周辺で、「違憲状態議員に安保法を立法する資格なし」とアピールする弁護士、市民=8月30日<

国会前周辺で、「違憲状態議員に安保法を立法する資格なし」とアピールする弁護士、市民=8月30日

戦争法案に反対し福岡市天神をデモ行進する市民ら=8月30日 <

戦争法案に反対し福岡市天神をデモ行進する市民ら=8月30日

【山本 弘之】

 

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