下請事業者に無償で長期間保管させるのは違法 公取委
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公取委の判断と違反内容
公正取引委員会(以下、公取委)は16日、部品製造に使う木型などを、無償で長期間、下請事業者に保管させていたのは下請法違反に当たるという判断を示した。
勧告を受けたのは、発電所で用いられる高温高圧バルブの製造・保守などを行う岡野バルブ製造(株)(北九州市門司区)。勧告書によると、岡野バルブ製造は、下請事業者に対して長期間部品の発注を行わないにもかかわらず、部品製造に使うために貸与していた木型・金型など合計330個を、2021年8月1日から22年12月6日までの16カ月以上にわたって無償で保管させていたとされる。公取委はこの行為を下請法(下請代金支払遅延等防止法)第4条第2項第3号(不当な経済上の利益の提供要請の禁止)の規定に違反するものと認め、同社に対して再発防止を勧告した。
公取委が、長期間取引がないことを理由に無償保管と認定し、木型や金型の保管に際しての費用やスペースの占拠などを、下請に対する不当な行為にあたると認定したのは初めてとみられる。また、同社に対して公取委は、保管費用に相当する額を速やかに支払うことなども合わせて勧告した。
岡野バルブ製造のコメント
同社に対して取材を行ったところ、今回の原因については「当社の認識の甘さ」としたうえで、「勧告内容に対して真摯に対応していきたい」とコメントした。また、再発防止に向けた対策としての、発注部門への教育・周知など一部勧告内容については、すでに是正済みとしている。弁済金額については、同社による試算もすでに公取委へ報告済みで、公取委による最終金額確定を待つ状況にあり、4月末ごろまでに弁済を含めた改善報告が行われる見込みとの回答だった。
岡野バルブ製造は1936年設立のバルブ製造大手。22年11月期決算は、売上高68億8,700万円(前年比17%増)、営業利益4億8,800万円(同33%増)、当期純利益4億8,300万円(同59%増)。決算報告によれば、政府が次世代原子炉への建替え推進に向けた政策転換を示すなど、国内外で原発回帰への動きがみられたことなどの影響により、売上高が堅調に推移したとしている。また、岡野バルブ製造は、東洋経済オンラインが掲載する2023年版「全国トップ500社のランキング」の九州・沖縄部門で第40位(平均年収:536万円、平均年齢:40.5歳)にもランクインしている。
【寺村 朋輝】
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