2024年07月16日( 火 )

競争激化のクラウドサービス市場(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏

データが最高の資源となる時代へ

 2000年の半ば頃からスマートフォンとタブレットが登場し、かつてパソコン時代の王者であったマイクロソフトの業績にも陰りが出てきた。マイクロソフトもこれで終わりかという時、同社を危機から救ってくれたのがクラウドサービスであった。

クラウドサービス イメージ    クラウドの代表的なサービスには、「IaaS」「PaaS」「SaaS」の3つがある。

 例えていうならば、まず「IaaS」は、インテリアや家具のない住宅を借りるようなものだ。住むところは確保できたが、テナントはインテリアや家具を自分でそろえなければならない、そんなイメージである。つまり、このサービスはITのインフラだけを提供するもので、残りはこちらで用意しないといけないため、システムやOSやソフトウェアに関する専門知識が必要になる。その分、費用は一番安くつく。

 次に「PaaS」というサービスについて。これはビルトインのマンションのようなものである。インテリアも家具も用意してあるので、入居して住むだけでよいのだ。洗濯や掃除は自分でする必要があるが、ソフトウェアなどはすでにインストール済みであるから、これを利用すればよい。当然、費用は先の「IaaS」に比べ、高くなる。

 3つ目の「SaaS」というサービスについて。これはホテルを住居に使うようなもので、高くつく代わりに、掃除も洗濯もいらないサービスである。一般のユーザが最も多く利用しているサービス形態もこれで、インターネットにつながっていれば、どこでもサービスを享受できる。これら3つのサービスのシェアは、「SssS」が63.6%を占めてトップであり、次いで「IaaS」が21%。「PaaS」のそれは15.4%であるという。

 クラウドサービスは当初、費用削減が目的だったが、現在は爆発的に増えているデータを管理する手段として注目が集まっている。クラウドへの移行は増加の一途をたどっており、グローバル上位企業1,000社のうち、90%が2024年までにクラウドサービスを導入することになるだろうと予測されている。しかも、国境を越えたクラウドサービスは世界中どこにいても利用できるため、その利便性はますます向上している。

 韓国国内では、LINEの本社であるネイバーがデータセンターの構築やクラウドサービスの展開に力を入れているし、ライバルであるカカオ社や通信会社も新しい収益を求めてクラウドサービスの展開に力を入れている。上記に上げたアマゾン、Google、マイクロソフト以外にも、ローカルの競合もあり、クラウドサービスをめぐって競争は激しくなりつつある。アマゾンの優位はこのまま続くのか、それとも新しい王者が誕生するのか、業界の推移に多くの人が注目している。

(了)

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