大手電力7社、6月から家庭向けの電気料金を値上げ
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電力7社、6月から電気料金を14~42%値上げ
政府の「物価問題に関する関係閣僚会議」が5月16日に開催され、大手電力会社7社の電気料金が6月分から値上げとなることが決まった。
政府の試算によると、標準的な家庭における1カ月あたりの電気料金の値上げ幅は、北海道電力が3,223円(2022年11月比+21%)、東北電力が3,182円(同+24%)、東京電力が2,078円(同+14%)、北陸電力が4,724円(同+42%)、中国電力が3,802円(同+29%)、四国電力が3,239円(同+25%)、沖縄電力が5,323円(同+38%)となる見込みだ。関西電力、中部電力、九州電力は値上げ改定を申請していない。政府の試算における「標準的な家庭」とは、1カ月あたり400kWhの電気の使用を想定している。
今回、電気料金が値上げとなるのは、大手電力7社である北海道・東北・東京・北陸・中国・四国・沖縄電力が22年11月から23年1月にかけて、家庭向け電気料金に関して約3~4割の値上げ改訂を申請していたためだ。石炭、液化天然ガス(LNG)、原油などの燃料価格の高騰などが背景にあるとされる。
6月から値上げ改定となるのは、家庭向けの「規制料金」と呼ばれる電気料金プランである。規制料金とは、2016年4月の電力自由化前から提供されている電気料金プラン「従量電灯」などのことで、契約口数ベースで低圧電力の約6割を占める(23年1月時点)。
家庭での大幅な値上げの実感は10月から
家庭向けの電気料金は6月1日から値上げとなる。しかし、今年9月までは、政府のエネルギー価格高騰対策の「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(以下、激変緩和措置)により、標準的な家庭での電気料金の値上げのうち月額約2,800円は国の税金による負担となる見通しだ。そのため、家庭で電気料金の大幅な値上げが実感されるのは、10月の使用分からとなろう。
再エネ賦課金は4月から、標準的な家庭の負担額が月820円引き下げとなった。しかし、原油、LNG、石炭などの燃料価格が値上がりした場合、燃料費調整制度によって数カ月後に電気料金に反映される。そのため、燃料価格が上がると、家庭向け電気料金の負担がさらに大きくなる可能性がある。
石炭とLNGの燃料価格による影響
電気を供給するためにかかった費用は、「原価」と呼ばれる。電気料金の原価のうち、多くの割合を占めるのが燃料費だ。同会議の資料によると、大手電力7社の火力燃料費の内訳は、北海道電力は石炭系69%・ガス系15%、東北電力は石炭系46%・ガス系50%、北陸電力は石炭系81%・ガス系11%、中国電力は石炭系72%・ガス系21%、四国電力は石炭系60%・ガス系27%、沖縄電力は石炭系71%・ガス系28%(東京電力の燃料費の記載はない)。つまり、火力燃料費の多くを石炭が占め、次に多いのがLNGというわけである。
21年の日本の石炭輸入先はオーストラリアが約6割、インドネシア約1割、ロシアが約1割だった。LNG輸入先はオーストラリア約3割、マレーシア約1割、カタール約1割であった。そのため、燃料価格の相場による影響のほか、ロシア産石炭の他国の石炭への切り替えにともなう費用も、燃料費に影響を与えているのではないかと考えられる。
【石井 ゆかり】
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