2024年11月25日( 月 )

アメリカの凋落を象徴する老老対決:バイデンvsトランプ(中)

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国際未来科学研究所
代表 浜田 和幸

ライバル蹴落としに力を入れるトランプ

トランプタワー イメージ    さて、何かと話題のトランプ前大統領ですが、ニューヨークの検察に出頭した後、フロリダに飛んで帰り、支持者を前にして身の潔白をアピールしました。と同時に、大統領選挙運動を加速させるために、さらなる募金のお願いを重ねています。

 というのは、2022年の年頭、彼の選挙資金は1億ドルを優に超えていましたが、2023年1月には2,500万ドルにまで減少。そのため、トランプ陣営は必死で募金活動に力を入れているようです。トランプ氏の募金サイトを見ると、「2024年の再選のために1人3300ドルまでの募金をお願いします」と記載されています。

 しかし、支持者からの反応は今1つ盛り上がりが見られませでした。ところが、今回の起訴が引き金となり、支持者の間で再度募金の動きが盛り上がりを見せてきたのです。加えて、トランプ陣営では新手も繰り出しました。何かといえば、「ドナルドを自由にするための金の延べ棒」キャンペーンを始めたのです。1本100ドルで大売出しを始めています。

 これまではトランプ支持の集会ではMAGA(Make America Great Again)のロゴ入りのTシャツや帽子が飛ぶように売れていました。ところが、このところ集会への参加者も激減し、トランプグッズも売れ残りが目立つようになっていました。何とか形勢逆転を狙っていたときに、「アメリカ史上初となる大統領経験者の起訴」という、願ってもない神風が吹いてきたわけです。得意のツイッターで「バイデン政権によるでっち上げで、もうじき自分は逮捕、拘束されるかもしれない。そうなれば、アメリカは終わりだ。皆で立ち上がって、自分もアメリカも救って欲しい」と訴えに力を注いでいます。

 すると、意外なところからも応援メッセージが届きました。ツイッターを買収したイーロン・マスク氏です。ここぞとばかり、トランプ氏にエールを送っています。マスク氏によれば、「刑務所に送り込まれれば、トランプ氏への同情票が得られるので、再選は間違いない」とのこと。

 また、トランプ氏は共和党の指名争いで人気が高まりつつあるフロリダ州のデサンティス知事をやり玉にあげ、ライバルの蹴落としにも力を入れています。トランプ氏は「デサンティスもそのうち、女性問題で血祭に上げられるはずだ。かつての同級生の女性から、いや男性かもしれないが、訴えられるだろう」と述べていました。

 こうした発言を受け、デサンティス知事は「もう勝負はあった。トランプが逮捕されようが、されまいが、俺が次の大統領だろう」と自信を見せています。民主主義を標榜するアメリカですが、こうした低次元での泥仕合を見ると、アメリカの終わりを感じざるを得ません。

 さて、トランプ裁判の行方はどうなるでしょうか?不倫相手であったポルノ女優に対して口止め料として13万ドルを支払ったとされる過去の悪行が蒸し返されています。口止め料は顧問弁護士が立て替えていたので、問題はありません。

 しかし、その顧問弁護士に「必要経費」の名目で、同額のお金を振り込んでいたことは、明らかに選挙資金規正法に違反するもの。そのことをニューヨークのマンハッタン地裁の検事が5年ほどかけて証拠固めに動き、大陪審(23人の陪審員のよる表決)によって正式に起訴されました。トランプ氏自身は「魔女狩り裁判だ。逮捕が間近い」と訴え、支持者からの支援をあてにしています。

(つづく)

浜田 和幸(はまだ・かずゆき)
    国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

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