保守政治家・鬼木誠氏と旧統一教会との関係(2)
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昨年、安倍元首相銃撃事件で旧統一教会と政治の関係がクローズアップされ、宗教2世の問題などが大きな話題となった。国会において成立した不当寄附勧誘防止法も、多くの旧統一教会の被害者の証言などが世論を動かしたことによるものだ。しかし、法律の施行後、急速に関心が失われたようになり、教団と政治家との関係はうやむやになりつつある。はたしてそれでよいのか。
青山繁晴氏は旧統一教会の支援を断る
昨年、安倍晋三元首相の銃撃事件後、旧統一教会と政界の関係が公になり、大きな波紋を呼んだ。主に安倍派を中心とする自民党の保守系議員とのつながりが明らかにされたが、旧統一教会の支援を断った政治家もいた。自民党参議院議員で、日本の尊厳と国益を護る会の代表、青山繁晴氏である。
青山氏は自身のブログに次のように記した。長くなるが引用したい。
▼比較的、最近の出来事です。
参院選に向けて、自由民主党の公認作業などが進んでいた時期でした。良心的な議員が私にこう語りました。
「所属する派閥の長から (旧) 統一教会の選挙の支援を受けるようにと指示されたが、断った。そのため派閥の長は、その分の票を別の議員に割り振ったようだ」
そこで、この派閥の長を訪ねました。
わたしは完全に無派閥ですから、アポイントメントの申し入れさえ受けていただければ、どの派閥の長にも自由に、利害関係なくお話しすることができます。▼わたしがこの派閥の長に、事実関係を問うたところ、「各業界団体の票だけでは足りない議員については、(旧) 統一教会が認めてくれれば、その票を割り振ることがある」との率直な答えがありました。
わたしは「この宗教団体の支援を、すくなくとも一般の有権者が知らない、明らかにされていないのは問題です」と指摘し、「見直すべきです」と具体例を挙げて諫言しましたが、派閥の長は具体的には答えませんでした。」
(「青山繁晴の道すがらエッセイ/On the Road」2022年7月18日付記事より)このブログは瞬く間に全国に広がり、青山氏は複数のテレビのインタビューを受けることになった。自民党議員にも良心的な人がいる、勇気ある証言と評価された。ただ、氏に旧統一教会からの支援をつけることを申し出た“ある派閥の長”とは誰なのか、最後まで明らかにされることはなかった。
青山氏が代表を務める「日本の尊厳と国益を護る会」は、自民党内の保守系議員有志が2019年6月に結成した勉強会である。
産経ニュースは同会の結成を次のように報じている。
「自民党の有志議員ら5人が12日、国会内で記者会見し、父方の系統に天皇を持つ男系の皇位継承の安定など、保守の立場で課題解決を目指し行動する議員グループ『日本の尊厳と国益を護(まも)る会(護る会)』を発足させたと発表した。
記者会見を行ったのは、会の発起人である鬼木誠、高木啓、長尾敬の3衆院議員と青山繁晴、山田宏両参院議員の計5人。
男系皇位継承に加え、北海道で中国資本、長崎県対馬市で韓国資本による不動産買収がそれぞれ進んでいる現状を踏まえた外国資本による土地買収の拡大防止、「スパイ防止法」の制定を目標の柱に据えた。今後の活動を通じて政府に立法作業を促していく方針という。」
(「産経ニュース」19年6月12日)統一教会報道は反共潰しのプロパガンダ
鬼木氏は結成時からのメンバーであり、現在、護る会の副代表も務める。青山氏をたびたび福岡に招いてセミナーを開催したり、青山氏とYouTube番組にて対談を行ったりしてきた。鬼木氏の日頃の愛国的言動を考えると、日本の韓国統治に対する贖罪意識を利用して多額の献金を要求する旧統一教会の教義とは相容れないはずであるが、鬼木氏は統一教会について、師匠の青山氏とは異なる認識をもっていたようである。
今年2月19日、福岡市立市民福祉プラザ(ふくふくプラザ)において、おにき誠事務所主催で「防衛予算とその財源」をテーマにした勉強会が開催された。鬼木氏は毎月勉強会を開催しており、筆者もたびたび参加したが、まずはその熱心さに関して頭が下がると付言しておく。
1月の勉強会では質疑応答の時間が足りず、参加者から不満の声が挙がったという。そこで、2月に再度、「おにき誠が参加者からの異論・反論・質問にお答えします!」として行われた。その2月の勉強会で、参加者から出された旧統一教会との関係に関する質問に答えるかたちで、鬼木氏は次のように回答していた。
「こいつもこいつもと何回もテレビに出て、私が正直にインタビューを受けまくるもんだから出まくって、ずぶずぶ扱いされて、(会場、笑)あれは結構プロパガンダで、つまり共産党を目の敵にしてきた人たちを、ぶったたいて、潰すためのプロパガンダに使われたというところ」
驚くべき発言である。昨年9月に自民党が公表した、旧統一教会との接点に関する点検調査報告書にも鬼木氏の名前があり、福岡や東京で開催された教団の関連団体の行事に出席したことや、鬼木氏の妻が関連団体主催の女子留学生日本語弁論大会に参加し、審査員を務めていたことを認めていた。
社会的批判が高まって党本部からも関係をもたないよう通達が出されたので従うが、プロパガンダという言葉を使うことそれ自体、鬼木氏は、本音のところでは反共、反左翼の同志、旧統一教会やその政治団体、国際勝共連合に近く、一連の報道は左翼やマスコミによる保守潰しの動きだと捉えていることに他ならない。霊感商法や宗教2世の被害者のことなど、何ら考えていないに等しい。
前編でも取り上げたように、福岡は旧統一教会元信者などによる霊感商法や合同結婚式、献金などに対する多くの民事訴訟が行われ、いずれも教団は敗訴している。では、鬼木氏は旧統一教会関係者とどのようなつながりをもってきたのか、後編にて明らかにしていきたい。
(つづく)
【近藤 将勝】
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