K-ドラマの躍進と成功要因(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏『冬のソナタ』が契機に
ドラマ、映画、音楽、アニメーション、漫画など、韓国コンテンツが近年、世界中で商品として売れるようになった。
東南アジアを筆頭に、中東、アフリカ、ヨーロッパ、米国など、韓国のドラマはネットフリックスなどの動画配信サービスを通じて世界の人々に親しまれ、愛されるようになった。とくに日本での人気ぶりには目をみはるものがあり、韓国人である筆者よりも韓国ドラマに詳しいのにはびっくりしている。
韓国のドラマが世界的に売れるようになった、その契機をなした作品といえば、日本でも放映され高視聴率を記録した『冬のソナタ』であろう。『冬のソナタ』が日本で成功しなかったら、韓国のドラマは現在のような地位を獲得していなかったにちがいない。
NHKで『冬のソナタ』が放送されたのは2003年。BSでの放映だったが、人気に応えて翌2004年にはNHK総合で放映、20%の高視聴率を記録した。「ヨン様」という言葉の流行も、その人気の高さをよく物語っていただろう。総製作費30億ウォンをかけたこのドラマは、海外収益のみで290億ウォンもの利益を上げる大成功を収めた。
『冬のソナタ』で日本のファンの心をつかんだ韓国ドラマは、次なる作品、すなわち、朝鮮王朝時代の華やかな宮廷料理をめぐり話が展開される『宮廷女官チャングムの誓い』で、再び日本のファンを魅了する。今度は日本にとどまらず、中華圏、アジアを超えて、中東、ヨーロッパにまで韓国ドラマのテリトリーを広げることになった。同ドラマは中東では90%におよぶ視聴率を記録したというから驚きである。
『冬のソナタ』の成功を機に韓国ドラマに対する需要が高まったことを受けて、ドラマの制作会社は、企画・制作の段階で放送局の編成を確約する、流通会社に先行販売を行うなどの手を打つようになった。また、海外でドラマをIP(知的財産)として多角的に活用できる利権なども確保していった。かくして、たとえば日本では現在、昼間の時間帯にテレビをつければ必ずどこかのチャンネルで韓国のドラマが流れているほどになっている。以前は想像だにできなかった大きな変化である。
さらに、最近ではネットフリックスで公開された『イカゲーム』が90カ国で1位を記録するなど、韓国ドラマが世界に通用することがあらためて立証された。映画についても、第92回アカデミー賞で『パラサイト 半地下の家族』が非英語の映画として初となる最優秀作品賞を受賞したほか、監督賞、脚本賞、国際長編映画賞の3部門でも栄冠を手にしている。その他にも、後述する「ウェブトゥーン」をベースに制作されたドラマ『スイート・ホーム』は11カ国でネットフリックス1位を記録しただけでなく、韓国ドラマとしては初めて米国ドラマトップ10入りする快挙を示した。韓国ドラマはこのように、幅広いジャンルの多様なコンテンツで、いまや世界の熱い視線を集めている。
(つづく)
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