ロッテG、主力企業の格下げで流動性危機の恐れ(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉 明鎬 氏ロッテグループ4社、格付け下降
韓国でデパート、スーパーなど、流通事業を中心に順調に成長を遂げたロッテグループだが、近年成長の曲がり角を迎えている。
3年間の新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、同グループは甚大なダメージを受けたが、デジタル化の波が流通にも押し寄せ、ロッテグループは主力事業の流通部門において収益性の悪化と負債の増加に見舞われている。日本人にとってガムやチョコレートなどで一番馴染みの深い韓国企業であるロッテグループだが、韓国では流通業を中心にホテル業、ケミカル事業に至るまで、事業は多岐にわたっている。
ところが、ロッテグループに外部環境は悪材料が相次いでいる。THAAD(米軍の防衛ミサイル)の配備への土地提供に対する中国側の報復により、ロッテは中国から撤退を余儀なくされた。さらに新型コロナウイルスの感染拡大で流通業は深刻な打撃を受けた、その後も景気低迷が続いている。ロッテグループはこれまで、野村証券出身の現会長のリーダシップの下でM&Aを繰り返し、事業を拡大してきたが、最近になってグループ事業に陰りが出てきている。
昨年末には系列会社であるロッテ建設が「流動性危機」(信用不安から取引が収縮してしまう現象)に陥り、グループ全売上高の34%を占めているロッテケミカルが中心になって有償増資をすることで、危機を乗り越えた。ところが、今回はグループのうち、4社の格付けが軒並み下げられ、グループの今後の推移に注目が集まっている。
とくに、ロッテキャピタルとロッテレンタルの社債は、今回の格下げで優良債でなくなり、機関投資家すら投資に応じられないのではないかと危惧されている。格付けが下がると、社債を発行しても消化されない可能性もあるし、利子を上げないと投資家が買ってくれないため社債発行はできても金利負担が重くなる。
ロッテグループは、今年1兆ウォンくらいの社債の満期が控えていて、はたして借り換えはできるだろうかという懸念が広がっている。今回の格下げの1次的な要因は、ロッテ建設が流動性危機に陥ったときにグループの緊急資金で問題が解消されたこと、それにロッテケミカルの業績悪化と財務状態の悪化で、流動性の問題がグループ全体に広がるのではないかという懸念である。
ロッテケミカルのグループ内の位置づけ
ロッテケミカルの時価総額は、約8兆ウォンである。国内株式市場に上場されているロッテグループの会社のうち、時価総額は最も大きい。ロッテケミカルは新型コロナウイルスが発生した2020年から3年間、系列会社のなかで最も多くの売上高を上げ、グループの稼ぎ頭としての役割をはたした。グループ全体の売上の3分1を占めているロッテケミカルだったが、石油化学産業の業績悪化と、投資による財務負担の二重苦により苦境に陥っている。
財務状況はもともと健全であり、最近5年間の営業利益率も10%をキープしていた。ところが、ロシアのウクライナ侵攻で、原材料価格の高騰、その影響で景気は失速し、需要は急激に減っている。加えて、今まで最大の顧客であった中国とのビジネスが泥沼化し、ロッテケミカルの業績は一転して赤字に転じている。
(つづく)
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