自民党福岡10区支部長をめぐる県議団と市議団のバトル
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自民党福岡県連は8日、今秋にも衆議院解散・総選挙が実施されるとみられるなか、福岡10区(小倉北区など)の公認候補予定者について公募を行い、そのうえで党員投票を行うと発表した。2021年の衆議院選挙で山本幸三・元地方創生担当大臣(74)が落選し、支部長不在となっている。
自民党福岡県連10区支部は先月25日、同区支部長を公募する方針を確認していた。同21日に北九州市議会議員・大石仁人氏(38)が出馬を表明したのに続き、同党の吉村悠・福岡県議会議員(37)と佐藤栄作・北九州市議(40)の両名も公募に応じる意向を表明している。このように30代後半から40代の自民党若手議員3人が立候補しており、いずれかが支部長に就任した場合は事実上の世代交代になる。
支部長公募の話が決定して以来、福岡10区の自民党内は誰を推すのかをめぐり、県議団と市議団との間で水面下の駆け引きが行われているという。
今月2日、JR九州ステーションホテル小倉において、自見はなこ参議院議員の政経セミナーが開催された。自見氏は日本医師会の組織内議員であり、現在、内閣府大臣政務官を務めている。父は衆議院議員を7期、参議院議員を1期務め、郵政大臣や国民新党代表などを歴任した自見庄三郎氏。
自身が小児科医を務めていた経験から、乳児の健康や防災の面から乳児用液体ミルクの重要性を提言し、こども家庭庁の設置にあたっては自民党若手有志の勉強会「Children Firstの子ども行政のあり方勉強会」を山田太郎・参議院議員らと結成するなど、子ども政策や医療政策に熱心に取り組んでいる。
今回の政経セミナーでも、自見氏の後援会長である松本吉郎・日本医師会会長が講話を行っており、出席者の半数は医師会関係者だったようだ。
自民党にとって日本医師会とその政治団体である医師連盟は、重要な支持団体である。当然、自民党系の多くの地方議員もセミナーに出席していた。
ある関係者によると、来賓挨拶のなかで県議団と市議団のバトルが行われたという。最初に登壇したのは、自民党福岡県議団会長の松尾統章県議。松尾氏が「吉村悠県議を応援する」という趣旨の話をしたところ、続いて登壇した北九州市議会議長の鷹木研一郎市議が、「北九州市議には佐藤栄作市議がいる」と反論したという。
福岡10区支部長をめぐる駆け引きを見せられて、「多くの出席者は県議と市議のアピールに呆気にとられた様子だった」と、セミナーに参加していたある地方議員は語った。
近年、福岡政界における北九州市の自民党の存在感が薄らいでいたが、12日に党員投票の開票が行われる福岡9区および10区の趨勢によっては、県政界におけるパワーバランスにも微妙な変化が生じるのではないかと指摘する声もある。
福岡10区の候補予定者の公募は今月13日から受付を開始し、20日で締め切られる。書類審査や面接を実施したうえで党員投票は今月31日から行い、8月9日に開票、候補者が内定する。
【近藤 将勝】
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