2024年07月16日( 火 )

福岡の発展に貢献を続けた20年を振り返る オフィスビルや商業施設の管理運営で事業拡大

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(株)オー・エイチ・アイ

仕事の面白味とは、顧客の利益を考え寄り添うことから始まる

 2023年、設立20年を迎える(株)オー・エイチ・アイ。福岡市を拠点に不動産事業を総合的に行っている。とくに、PM(プロパティ・マネジメント)事業を通じて、福岡市の発展に貢献をしてきた。PM物件リストには、中洲の「gate‘s」や天神の「ノース天神」、百道浜の「ヒルトン福岡シーホーク」など、名だたるオフィスビルや商業施設などが並ぶ。福岡の地域性を熟知した独立系PM企業ならではの柔軟さと機動力、きめ細やかな管理運営で、各施設の資産価値を高めて各エリアに活気を与えている。

 PM事業の運営管理は、キャッシュフローを安定させ、採算性を確保するために必要な情報を集めて、収益拡大とコスト削減の両面から運営戦略を練り、オーナーに提案をしていく、というものである。非常に複雑で、金融から工事周りまで一連の見識が深くなければ、新規参入が難しい分野といえるだろう。一定の企業規模と実績がなければ、そう簡単に受注はできない。

(株)オー・エイチ・アイ 井川英治代表取締役社長
(株)オー・エイチ・アイ
井川 英治 代表取締役社長

    「まずPM事業を展開する会社は少なく、競合が少ないのです。その分、作業は複雑であり、さまざまな角度から熟考して、きめ細やかな準備をする必要があります。常に、お客さまの利益を最優先に考えて、緻密な提案書が作成できるか、それが苦労する点でもあり、面白味ではないでしょうか」と、井川英治代表取締役社長は語る。

 浮き沈みの激しい業界において、リーマン・ショックなどの危機も乗り越えて、同社を発展させてきた社長の言葉は、重みがあると同時に落ち着いている。フィーで競合他社と競うことはしない、という方針であり、どこまでも顧客に寄り添いながら、最適な提案を続ける姿勢を崩さない。

 近年、受注のスタイルに変化が起きているという。今まで売買とともに依頼があったPM事業に、単体のオファーが増えているのだ。とくに、東京など都心部からの問い合わせが増加しているのは、同社の知名度が上がり、福岡県内外の顧客からも信頼を得ている証拠である。

無駄の美学がある人と
過ごす時間を楽しむこと

  「当社には明るく陽気な人が多いです。細かい指示はしませんが、チームワークが重要だと、常日頃から伝えています」と語る井川社長。社内の雰囲気は良好で、社員の定着率も高い。会社の方向性はトップの気質にリンクするといわれている。社長の人柄と明るさが影響していることは間違いないだろう。福利厚生については、基本的な制度を整えているほか、社員旅行、野球イベント、毎月の誕生日会など、皆が楽しめるイベントを数多く実施している。グループ全体で年2回、予算発表とその年の振り返りを行い、忘年会も華やかに開催する。近頃、世間では会社での付き合いを好まない人も増えているが、同社では喜んで参加する社員ばかりだという。

 とくに重点を置いていることの1つに、各部署で使える接待交際費等の予算確保がある。経費削減で支出を厳しく制限する会社が多いなか、社員のモチベーションと営業成績に必ずつながると確信して、結果への期待を伝えつつ予算を編成している。

 男女の差がほぼ関係ない業界であり、性別に関わらず活躍ができる会社でもある。営業部のトップは15年以上勤務している女性で、抜群に気の配り方がうまく、不動産業界では有名だ。

 若い人と過ごす時間に多少のギャップは感じても、抵抗はまったくないというエネルギッシュな井川社長は、「若いころは、遊びも仕事もだいぶ無茶をしましたね」と笑う。どれだけ呑んでいても頭は冷静に、仕事の話を夢中でしていたそうで、その経験と培った人脈は後の活躍への足がかりとなった。

 「結局、ビジネスは人とのつながりです。まずは単純に人との時間を楽しむこと。そこから接点ができ、縁も生まれます。人との時間を断つと、そこで終わりです。不思議ですが、一見無駄に見えることも、巡りめぐって、有益な結果を生むことがあります。無駄の美学ですね」と語る。

世界の社会情勢と経済状況を見極め、次の10年に向けて動き出す

(株)オー・エイチ・アイ    同社は20周年を迎えて、今までの振り返りとともに、次の10年に向けた動きも始めている。予算とビジョンを定め、成長都市である福岡に沿った基礎計画を立てているという。

 「次の10年がとても大事だと思っています。変化の早い世界で長期的な計画を立てることは難しいかもしれません。住居用物件とオフィスビルは少し事情が違いますが、仲介だけでは不安定な業界ですので、安定した部門を構築して伸ばします。そして、守りながらもしっかり攻めることが重要です」と井川社長。社内では、20周年委員会が立ち上がっている。「進め福岡、進めOHI」というキャッチコピー案が上がっており、都市として成長が続く福岡を、力強く駆け上がるべく準備は抜かりない。

 今後は、OMP (OHI未来プロジェクトの頭文字を取っている)と称して、分譲専門の会社を立ち上げる予定にしており、福岡以外でも事業を拡大させるという。「今の不動産業界は、地域格差はあるものの悪くはない状況です。不動産は株と違い物がありますし、バブル崩壊のようなことにはなりにくいと予測しています。とはいえ、小さな波はあります。アメリカの金融政策や3月に起きた銀行破綻の影響を受け、皆が慎重になっているという印象があり、油断はできません」と井川社長も慎重な見方をしている。

 福岡の街が一望できる会議室には、経営理念とともに、「破綻への道程」を掲げている。JAL破綻の翌日の新聞社説を参考に社長自らが作成したという。第三章に続く最終章には「ひたすら救世主にすがる」とある。「いずれ景気が良くなる」「あの人に頼めばどうにかしてくる」などといった外部任せな精神性こそ、最も愚かな行為だとの考えだ。コロナ以降、日本国内の倒産数は減少しているが、今後は調整期間に入るともいわれており、世界全体で投資家は非常に慎重になっている。社会情勢と経済状況をみながら、微妙なさじ加減が必要な不動産業界で、築いた実績を基盤にオー・エイチ・アイの飛躍はこれからも続いていく。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:井川 英治
所在地:福岡市中央区天神4-6-7 JRE天神クリスタルビル14F
設 立:2003年10月
資本金:1,100万円
TEL:092-733-2681
URL:https://www.ohi-pm.jp


<プロフィール> 
井川 英治
(いかわ・えいじ)
1954年1月、愛媛県四国中央市生まれ、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、外資系海運会社に勤務し、(株)大井不動産入社。(株)ホークスタウン代表取締役社長も務める。2003年に(株)オー・エイチ・アイを設立、代表取締役となる。趣味は読書、絵画鑑賞、仲間と酒を飲み交わしながら楽しく過ごすこと。

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