2024年07月17日( 水 )

秋本政務官(再エネ推進派)へ風力発電会社が資金提供か 親会社も複雑

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 風力発電を手がける日本風力開発(株)(東京都千代田区、代表:塚脇正幸)が、外務大臣政務官の秋本真利・衆院議員(自民、比例南関東)に対して多額の資金提供をしていた疑いがあるとして、東京地検特捜部が同社社長から任意で事情聴取していたことが分かった。

 脱炭素政策の柱として、政府は洋上風力発電の普及を推進している。2018年11月には洋上風力発電利用促進法が成立した。洋上風力発電事業を展開する海域は政府が指定し、開発計画を提出した事業者のなかから入札で決めることとされている。

 関係者によると、日本風力開発も、政府が数年前に入札を実施した洋上風力発電事業への参入を目指していたが、落札することができなかったと見られる。秋本議員は昨年2月に国会で、次回のプロジェクト公募から入札の評価基準を見直すよう求める質問を行っていた。

秋本議員は脱原発・再生可能エネルギー推進派議員

 秋本議員は1975年生まれ。千葉県富里市議を経て、2012年12月の衆院選で自民党公認候補として千葉9区から出馬して初当選し、現在4期目。17年8月から国土交通大臣政務官を務め、洋上風力発電の導入を促進する「再エネ海域利用法」の法案作成に関わった。昨年8月には第2次岸田改造内閣にて外務大臣政務官に就任した。

 秋本議員は脱原発・再生可能エネルギー推進派議員として知られ、14年に採決された、トルコとアラブ首長国連合(UAE)への原発輸出を可能にする原子力協定承認案の衆院採決では、民主党の菅直人元首相ら一部議員が採決を欠席・棄権するなどしていたが、自民党議員であった秋本氏も途中退席していた。

数々の疑惑

 『週刊文春』が今年2月にはさまざまな疑惑を報じている。秋本議員が再生エネルギー事業を手がける「レノバ」(東京都中央区)の創業メンバーで特別顧問だった人物の会社から献金を受け取っていたとの疑惑や、また、秋本議員の私設秘書の給与を政策秘書に肩代わりさせるなどしていた疑いがあることを報じていた。

日本風力開発と3つのJWDホールディングス

 日本風力開発は1999年設立。これまでに300基程度の風力発電を開発しているが、2015年、業績悪化により財務体質の健全化を目指して、日本風力開発の代表である塚脇氏と米大手PEファンドのベインキャピタルが共同出資したJWDホールディングス(東京都千代田区)によるTOB(株式公開買い付け)を実施、同年9月、完全子会社化された。

 JWDホールディングスの法人登記の確認を試みたが、現在、以下の3社が乱立する複雑な状況となっている。

・JWDホールディングス(株):現代表:杉本勇次、15年2月設立。
・JWDホールディングス2(株):代表:杉本勇次、21年2月にJWDホールディングスから分割設立。
・JWDホールディングス3(株):代表:塚脇正幸、21年1月設立。

【寺村 朋輝】

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