2024年11月24日( 日 )

多業種のグループシナジーを見据えて 組織力強化で新たな成長ステージへ

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芝浦グループホールディングス(株)

新地洋和・代表取締役社長兼CEO
故・新地哲己氏の経営基盤を継ぐ

 芝浦グループは、1977年に先代の新地哲己氏が家電販売店「シンチデンキ」を創業したことに始まる。79年、組織変更して芝浦特機(株)(現・芝浦建設(株))とし、その後、空調メンテナンス、太陽光発電、不動産、建設、ホテル、自動車、などと業容の拡大を続け、現在芝浦グループホールディングス(株)の下、11の子会社を展開する。

芝浦グループホールディングス(株) 代表取締役社長兼CEO 新地洋和氏
芝浦グループホールディングス(株)
代表取締役社長兼CEO 新地 洋和 氏

    2022年6月、芝浦グループ45周年ならびに新社屋が披露された。同年10月1日には新役員人事が発表され、代表取締役社長兼CEOに新地洋和氏、取締役会長兼CFOに芦刈裕子氏、取締役副社長兼COOに藤松信弥氏が就任した。創業者・新地哲己氏は新体制の船出を見届けて同月14日に69歳で逝去した。新代表・新地洋和氏は、先代・哲己氏が一代で築いた芝浦グループをどのような展望をもって新しいステージへ導くのか。

複合施設ビル開発で切り拓く
ニューガイアの新しい地平

「ニューガイアビルディング大分駅前No.80」完成イメージ
「ニューガイアビルディング大分駅前No.80」
完成イメージ

    同グループが「ニューガイア」のブランド名で手がける賃貸・分譲マンションならびにオフィスビルの最新プロジェクトとして、現在、JR大分駅前で進行中の「ニューガイアビルディング大分駅前 №80」は、25年の竣工を予定している。同社はこれまで単体マンションやオフィスビルで多数の実績をもつが、同プロジェクトは1~3階までをテナントとし、その上階をオフィスフロアとする、同グループ初の複合施設ビルとなる予定だ。ビルは大分市管理の多目的イベントスペース「祝祭の広場」に隣接するため、1階はカフェなどが入居するのに最高の立地であり、入居テナントによって上階のオフィスフロアも価値上昇が見込める。

 大分駅周辺はビルの世代交代がほとんど進んでおらず、オフィス空間と商業空間を隣接させた同社の複合施設ビルの登場によって、駅周辺の開発に新しいトレンドを生み出す効果への期待は大きい。

 同社は今回の複合施設プロジェクトの試みを通して、テナント誘致のノウハウ獲得をも見込む。マンション・オフィスビルの実績に、新たにテナント誘致力を加えて、同社はあらゆる立地に対して最適解の土地開発で応える総合不動産の領域へ踏み出していく。

太陽光発電の草分けとして
快進撃の10年と次なる戦略

九州ソーラーファーム45 山口地区 厚狭発電所
九州ソーラーファーム45
山口地区 厚狭発電所

    芝浦グループは02年に太陽光発電事業部を設立した。環境問題に対する世界的な関心を先取りした戦略がいかに優れていたかはいうまでもない。05年、画期的な賃貸マンション「ニューガイア上石田」を竣工する。同マンションは屋上の太陽光パネルを各世帯に割り当て、入居者が太陽光発電システムのメリットを受けることができる、日本初の「全戸個別供給型太陽光発電マンション」である。CO2削減効果と入居者の光熱費削減、余剰売電のメリットを実現した同マンションは、同年「第10回新エネ大賞経済産業大臣賞金賞」を受賞した。

 さらに、東日本大震災後に国が推進したエネルギー政策事業にいち早く参入した同社は、12年に「九州ソーラーファーム1嘉麻発電所」の運転を開始。これは民間企業で国内初のメガソーラーである。これを皮切りにわずか10年で「九州ソーラーファーム45」の「厚狭発電所」(21年7月運転開始)まで拡大した。全発電所を合わせた定格出力の合計は115MWに上る。

 固定買取制度(FIT)の適用期間10年が経過した現時点で新たなメガソーラー建設はせず、今後は初期のパワーコンディショナーのリパワリング(交換率を上昇させ発電量を増やす)を行っていく。

急拡大後の課題に1つずつ向き合い
組織力強化で新しいステージに踏み出す

芝浦グループ本社 「TH NEW GAEA BUILDING 天神北」
芝浦グループ本社 「THE NEW GAEA BUILDING 天神北」

 芝浦グループは、この10年で事業規模が急拡大した。しかし会社の急成長に対して、内部統制の仕組みづくりがまだ完成できていないという。新代表・新地洋和氏は次のように語る。

 「社員は400人近くになり、さらなる成長に向けた組織体制とするために、社員たちの意見を経営にフィードバックできる仕組みづくりが必要です。フィードバックに対するレスポンスのスピード感を大切にしたいと考えています。社員たちは、会社が自分たちの声に応えてくれるのかをちゃんと見ています。まずは内部統制プロジェクトチームを立ち上げ、業務効率化から取り組みました。課題の洗い出しとその解決策を社員にヒアリングしたところ『これまでの慣習だから仕方ない』『こういうシステムを導入すればもっと効率が上がるのに』など具体的な課題がさまざま浮上してきました。問題提起をしやすい環境を整えたことで社員たちの生の声を聞くことができたのです。その声に会社も即、実行や改善の指示を出しました。会社と社員の交互の素早い対応姿勢がモチベーションアップを有効に引き出すのだと思います」。

 また新地氏は会社と社会との関わりについても次のように語る。

 「内部統制と同様に私たちが取り組むべきことは〝社会貢献〟です。創業から今日まで私たちは多くの皆さまに支えられ、助けられてきました。おかげさまで事業が軌道に乗っている今だからこそ、その恩返しをすべきではないかと考えています。その一環として、今年の夏休み期間中、本社10階ホールで〝子どもたちに夢を〟をテーマに『メガスーパーカー展』を開催します。中学生以下は入場無料とし、夢のあるクルマを通して子どもたちに笑顔になってほしいと思っています」。

 芝浦グループのこれからを語る上で新地氏は、社員1人ひとりが会社を背負って立つ自立性を身に着けてほしいと考えている。「先代はカリスマ経営者で、経営者のカラーが会社のカラーでした。しかし、今後は、立ち上げた数々の事業を確実に成長させるために、代表が1人で引っ張るのではなく、それぞれの事業を担う人材を育てて、人材を基礎にした組織力で、芝浦グループを成長させていく段階へ踏み出していきます」。

 新代表のもと、芝浦グループは新たなステージへ向けて着実な一歩を踏み出す。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:新地 洋和
所在地:福岡市中央区那の津3-9-1
設 立:2010年8月
資本金:7億450万円(資本準備金を含む)
TEL:092-718-0067
URL:https://www.shibaura-group.com/sghd


<プロフィール> 
新地洋和
(しんち・ひろかず)
1979年生まれ。福岡県北九州市出身。2002年、芝浦特機(株)入社。(株)ニューガイアおよびニューガイアエナジー(株)代表取締役を経て、17年、芝浦グループホールディングス(株)代表取締役社長就任。22年10月、同社代表取締役社長兼CEO就任。

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