2024年11月26日( 火 )

地方都市におけるマンション開発のパイオニア シフトライフが挑む「品質と価格の二律背反」

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(株)シフトライフ

マンション計画の差別化戦略で先駆者へ
九州の地方都市=シフトライフ

 福岡市などの大都市を除く地方の拠点都市は、大手開発業者が進出しにくいこともあり、地場マンションデベロッパー間の競争が続いている。そのパイオニア的存在が、(株)シフトライフだ。

 同社のマンションブランドである「アメイズ」マンションは、地方都市を中心に福岡市など九州各地で供給され、これまで好調な販売推移をたどってきた。「2・5m幅バルコニー」などのような「あったら嬉しい」工夫が盛り込まれた同シリーズは人気を博し、これまで好調な販売推移をたどってきた。

アスコットグループのシナジー
福岡・天神ではオフィス開発も

(株)シフトライフ 樋口由紀夫社長
(株)シフトライフ
樋口 由紀夫 社長

    同社は2018年10月、東証スタンダード上場のマンションデベロッパー・(株)アスコットの完全子会社となった。アスコットは東京都内を中心に収益不動産や「アスコットパーク」シリーズの分譲マンション開発を手がけてきた。シフトライフ子会社化の狙いについてアスコットは、投資エリア拡大による収益機会の増加を挙げた。シフトライフの樋口由紀夫社長は当時、「従業員の将来を考えて上場企業の子会社となることを選んだ。子会社化で事業にはずみをつけたい」と話していた。東京駅から半径1~5km圏内の都心エリアで開発されてきたアスコットパークと、九州の地方都市で開発されてきたアメイズ。真逆の開発方針のようにも見えるが、「ニーズに応えるマンション企画」という視点で、互いにシンパシーを感じたようだ。福岡市中央区天神では、25年春の竣工予定でアスコットが定期借地権を取得し、オフィスビル「(仮称)AUSPICE福岡天神」を開発している。

AUSPICE福岡天神(イメージパース)
AUSPICE福岡天神(イメージパース)

 開発するオフィスは、RC造・地上10階建で、延床面積は644坪。設計は(株)R.E.D建築設計事務所およびSAKO建築設計工社が手がける。「オフィス・商業用途において汎用性が高く、投資目的と実需双方における多様なニーズが見込まれることから、自己保有資産の積み上げも視野に入れております」(アスコット)と言い、シフトライフとともに、今後も九州エリアでさまざまな不動産事業を推進していく方針だ。

飯塚市、福津市で同時供給
山鹿市と諫早市でも間もなく

アメイズ飯塚ステーションレジデンス
アメイズ飯塚ステーションレジデンス

    大型商業施設・ゆめタウン飯塚の開業効果に沸くJR飯塚駅の周辺エリアでも、アメイズマンションの開発を行っている。「飯塚市では3棟目のマンションプロジェクトとなりますが、資料請求の受付開始から間もなく、多くの反響をいただくことができました。これまでにないほど地域の皆さまからのご期待を実感することができ、ありがたく思っています」とシフトライフの樋口社長は話す。24年5月に竣工予定のアメイズ飯塚ステーションレジデンスは、総戸数48戸。エントランスホールの奥まった位置には、在宅ワークや学習のためのワーキングスペースも置かれる予定で、駐車場も平置100台(70台・縦列2台目30台)と戸数に対して2倍以上を確保した。

アメイズ福津中央レジデンス
アメイズ福津中央レジデンス

    同時期に、JR福間駅から徒歩12分の商業施設跡地でもマンションプロジェクトを始動。24年6月竣工予定のアメイズ福津中央レジデンスは、総戸数70戸、敷地内に駐車場70台(平置)、隣接地に借上げ駐車場35台、計105台分(150%)を確保。隣接地には、業務用食品スーパーも新規開業した。

 熊本県山鹿市や長崎県諫早市でもマンションプロジェクトがあり、間もなく本格始動する予定だ。さらに、福岡市中央区でもマンション用地を確保しており、こちらも本格始動を控えている。

ゼネコンはじめ事業パートナーとともに、
九州一円のマンション供給で先頭走る

 アメイズマンションは、「良質かつ安価なマンション」として評価されてきた。不動産価格および資材の高騰による影響は受けているものの、エリアマーケティングによる用地選定、敷地条件に合わせた建築設計など、可能な限りでの工夫を施すことで、順調に実績を重ねてきた。これまで供給してきたのは、福岡県では福岡市、久留米市や古賀市、柳川市、大牟田市、佐賀県では佐賀市や唐津市、武雄市、伊万里市、さらに大分県日田市や長崎県長崎市、諫早市、東彼杵郡時津町、熊本市など九州の地方都市が主力だ。

 福岡都市圏の地価高騰が顕著となってからは、こういったエリアでも競合が増えてきたが、「市場ニーズにあった企画設計と徹底した施工管理により、工期の短縮と無駄のないコスト管理を実現し、お客さまに喜ばれる高品質な居住空間を驚異的な低価格で供給することを目指してきた」(樋口社長)という同社は、ゼネコンや設計事務所、金融機関、不動産会社ら事業パートナーの協力を得て、環境変化にも対応し、地方都市でのマンション供給では先頭を走り続ける。

 ある地方都市では、中心市街地の再開発にも参画する予定だという樋口社長は「ありがたいことに共同事業のご提案なども増え、これまではあまりなかった手法でのマンションプロジェクトも検討できるようになりました」と話す。地方都市のマンション開発=シフトライフという認識の広がりを実感しているようだ。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:樋口 由紀夫
所在地:福岡市中央区天神4-2-20 天神幸ビル3F
設 立:2006年8月
資本金:1億円(資本準備金含む)
TEL:092-791-6100
URL:https://shiftlife-corp.com


<プロフィール> 
樋口 由紀夫
(ひぐち・ゆきお)
1956年5月生まれ。大分県日田市出身。80年、九州産業大学工学部建設学科卒業後、建築設計事務所に勤務。マンションデベロッパーを経て、2006年に(株)シフトライフを設立。翌年、代表取締役に就任し、現在に至る。一級建築士、宅地建物取引主任者。趣味は大型バイクでのツーリングなど。

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