自民党重鎮の皆様、今こそ岸田おろしの時期では
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失われた国民の支持
福岡県内の自民党関係者は「過去最低の支持率で、年内解散は打てないでしょう」と語る。
14、15日に朝日新聞社が電話での全国世論調査を行ったが、岸田内閣の支持率は29%であった。9月調査の37%から大幅に下落し、発足以来、岸田内閣として最も低くなった。読売新聞社とNNN(日本テレビ系)は、朝日とほぼ同じタイミングの13日から15日にかけて全国世論調査を実施したが、岸田内閣の支持率は34%で前回の35%から横ばいであるが、岸田内閣発足から最低の支持率である。
朝日と読売は、政権に対する姿勢が異なっているが、毎日新聞社は25%、共同通信は32・3%と朝日・読売と変わりはない。
岸田文雄首相は、「一喜一憂せず、先送りできない課題に1つ1つ取り組んでいきたい」と述べているが、心中穏やかではないことは明らかだ。
先月の内閣改造でも支持率はあがらず、支持率回復の切り札と目された旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散命令請求は、請求自体の評価は84%(読売)など高いものの、自民党の政治家が教団との関係を断ち切れると思うかについて「断ち切れない」が68%、「断ち切れる」は24%(朝日の調査)にとどまった。この数字を見るだけでも国民の信頼はないといってよい。
国民の強い不満は、各社の調査をみても、生活に密着する問題、物価高対策の不十分さなど、はっきりいえば、政治の無策さに対する怒りとして支持率に現れている。
内閣支持率は危険水域
以前であれば、政権が国民の支持を失っているとみるや、自民党内において派閥重鎮などが倒閣運動をおこし始めたものである。
2000年の森喜朗内閣において、加藤紘一元自民党幹事長が山崎拓氏らとともに野党による内閣不信任案に同調し、内閣退陣を迫ったいわゆる「加藤の乱」があった。最近でも菅義偉前首相が、「選挙の顔」になれないとして、若手中堅から批判が起こり、菅氏は最終的に自民党総裁選に出馬せず、事実上、引きずり降ろされた。
永田町では、内閣支持率について「30%台は黄信号、20%台になると危険水域、20%割れで退陣」といわれる。
岸田首相は第4派閥の宏池会出身で、党内基盤の脆弱さから、安倍派をはじめとする派閥に配慮した人事を行うことで政権の安定を図ってきた。
今回の旧統一教会の解散命令請求は、被害者や2世、被害弁護団など多くの国民も歓迎、賛意を表しており、記者も「岸田首相よくぞやった!」との思いだが、肝心な国民生活はどうなっているのだろうか。
庶民の暮らしを考える政権を
岸田首相は「増税メガネ」と揶揄されているが、財務省や自民党内の財政規律派への配慮から、政府が今月末にまとめる経済対策に向けた自民党の提言案には、低所得世帯への給付措置を盛り込んだものの、所得税などの減税措置については盛り込まないという。
自民党内でも若手・中堅の議員から、消費税や所得税の減税を求める声も出ていた。たとえば、青山繁晴参議院議員は「『消費税減税』や『社会保険料の引き下げ』など、庶民の負担軽減に直結する政策こそが「真の減税」である」と訴えていた。
大企業への優遇措置と、非課税世帯を主とした給付だけでは、多くの生活者や中小企業にはほとんど恩恵はなく、国民の不満は高まるばかりだ。
岸田首相は、政策実現のために強引さも厭わなかった安倍・菅政権と違い、リベラルイメージが強く、メディアも野党も強い批判をしにくいところがあるが、「聞く力」といいながら国民の声が届かないのでは、日本の国力は落ちていくばかりである。
「国を憂う政治家」と自負するならば、自民党重鎮は今こそ「岸田さん、お辞めなさい」と立ち上がる時であると申し上げたい。
【近藤 将勝】
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