2024年11月24日( 日 )

立憲・共産、次期衆院選で連携 福岡県内の調整は行われるか

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温度差がある立憲・共産代表

 立憲民主党の泉健太代表と共産党の志位和夫委員長は23日、国会内で会談し、次期衆議院議員選挙において連携することで合意した。立憲からは岡田克也幹事長、共産からは小池晃書記局長も同席した。 

 志位氏は会談で、泉氏から「次の総選挙で与党の議席を最小化するために連携していきたいとの話があり、岸田政権を倒すために市民と野党の共闘は非常に大事でぜひやりたいと応じた」と述べた。一方、泉氏は「さまざまな政党と連携をしていくのが立憲民主党の認識」と、温度差を感じさせる発言をした。

 立憲の支持団体「連合」(日本労働組合総連合会)の芳野友子会長は、12日収録のBSテレ東「NIKKEI 日曜サロン」で、立憲と共産の動きについて「連携が明らかになれば推薦できないという判断になる」と野党共闘路線を牽制しており、立憲内にも共産党との連携に慎重な声がある。

福岡でも選挙区調整が行われるか

 もし、今後、共産党側がいう「市民と野党の共闘」の方向で動くとなれば、全国の選挙区において候補者の差し替えを含めた候補者調整が行われることになるが、福岡県内11選挙区はどうなのか。なかでも、有権者が多い福岡市内を主な選挙区とする1区から3区が注目される。

 1区から3区は、立憲・共産いずれも候補者がいる。さらに1区は社民、3区はれいわ新選組の候補者がおり、自民に加え、日本維新の会も候補者を立てるなかで、リベラル系が議席を獲得するためには、4党のだれを統一候補とするのか、協議を行う必要が出てくる。

 また、「市民」とはリベラル左派系市民グループの「市民連合」(安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合)を指していると思われるが、2021年の前回の衆院選では、枝野幸男前代表のもとで、市民連合を介して共産党との「野党共闘」を行い、選挙区調整を行った。同年12月に代表に就任した泉氏は、共産党との選挙協力を行わないと言明していた。

野党共闘に慎重意見も

 与党や保守層が、野党共闘を「立憲共産党」と呼び、SNSでも広く定着している。「立憲共産党」というレッテルを嫌う立憲の議員や支持層、さらに支持団体の労働組合は少なくない。連合では、野党共闘に積極的な自治労など公務員労組と、原発政策や憲法問題などへの主張が市民連合と一致しない民間労組では、温度差が大きい。

 国民民主が共産との連携に乗らないのは、反共産の理念が強い民間労組が支持基盤だからである。福岡県内の民間労組関係者は「共産党とはやれない。共産は全労連(全国労働組合総連合)でやればいい」という。同党は玉木雄一郎代表の下で、自民党に接近する動きを見せている。

 22日投開票の参議院徳島・高知選挙区では、立憲に所属していた広田一氏が、無所属で立候補し、共産や国民、社民を含めた幅広い支持を得て当選した。一方、衆議院長崎4区では、世襲批判があるなか、自民党の候補者が立憲の前職を下し当選した。

 今回の選挙は1勝1敗で岸田文雄首相の首の皮一枚つながったとの声もあり、年内に解散総選挙が行われるのかは定かではないものの、もし行われた場合、都市部では野党が躍進するが、地方においては組織をもつ自民党は粘るとの見方もある。

 岸田首相は23日の所信表明演説で「経済、経済、経済」と連呼して経済対策を強調したが、国民の政治への不信感は変わらず、支持率は低迷したままだ。国民は、政治の抜本的刷新を求めている。

 今回の会談における立憲・共産の連携が名実ともに行われ、福岡県内の選挙区においても候補者調整が行われるのか注目される。

【近藤 将勝】

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