年内解散は遠のいた?世耕参院幹事長の首相への異例の苦言
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世耕弘成参議院自民党幹事長が25日、参議院代表質問で首相のリーダーシップに苦言を呈する一幕があった。
冒頭、世耕氏は「岸田総理、最初に明確に申し上げますが、私は総理を支持し、総理が目指されている国の姿や政策の実現に少しでも協力したいと思っています」と岸田文雄首相への支持を表明した。
続けて「喫緊の課題であった新型コロナの5類感染症への移行、統一教会への解散命令請求も実行に移されました。国際情勢が緊迫するなかでのG7議長としての議論の取りまとめ、ウクライナへの支援、日韓関係の改善など、外交上の難題にも懸命に取り組んで成果を出しています」と内政・外交の具体的な取り組みをあげつつ評価した。
ところが、質問中盤から、岸田首相に苦言を呈する発言を行い「(国民に)なぜ評価されないのだろうというのが、率直なご心境ではないか」と指摘。「支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないからではないか」と与党の代表質問として異例の批判を展開した。
この日の国会は、NHK総合テレビで全国放送しており、世耕氏の発言に議場もざわついた。さらに世耕氏は自身の考えるリーダー像を示しつつ、「残念ながら、現状において、岸田総理の「決断」と「言葉」については、いくばくかの弱さを感じざるを得ません。その弱さが顕著に露呈したのが、今回の減税にまつわる一連の動き」と断じ「自分で決断するのではなく、検討を丸投げしたように国民には映った。総理のパッションが伝わらなかった」とまでこき下ろした。
世耕氏の発言は、まるで野党の代表質問であり、野党席からも拍手が起きた。岸田首相は、味方から背後を撃たれる事態に、声を荒げることなく、「変化の足音をしっかり伝え、目指すべき将来像へ強い意志をもって政策を実現していく姿勢を示すことが重要と考える。そのように振る舞えているか、常に顧みつつ、明日は今日より良くなると信じられる時代を実現することを明確にお誓いし、有言実行を貫いていきたい」などと答弁を行った。
世耕氏の発言について、自民党内でも賛否があり、「国民の声をよくぞ代弁してくれた」という声もあれば、「自分だけいい格好しているが、減税は世耕氏らが言い出したことだ」という声もある。
幹事長や政調会長など党役員人事のほとんどは総裁の専権事項だが、伝統的に参議院は別で、参議院会長が人事権を握っており、参議院幹事長も強い影響力をもつ。参議院のドンと呼ばれた故青木幹雄氏が、参議院会長時代、当時の小泉純一郎首相に苦言を呈したこともあった。
参議院幹事長が首相に異例となる苦言を呈したが、世耕氏の所属派閥の安倍派は、世耕氏を含めた15人の集団指導体制で運営され、最大派閥でありながら自民党内の影響力が低下しており、世耕氏の衆議院への鞍替えも二階俊博氏の反対を受けて、進んでいない。ここで見せ場をと考えた面があるだろう。
いずれにしても、内閣支持率が低迷するなか、身内の参議院幹事長からも公然と批判が出るようでは、岸田首相も年内の解散・総選挙に踏み切れない可能性が高い。
【近藤 将勝】
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