カンボジアの観光を支える日本語学校~カンボジア視察ツアー(番外編)
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学費無料で日本語教育
シェムリアップの空港から市内中心部へ向けて進むと、突然、「日本語学校」の文字が目に飛び込んできた。それが「山本日本語学校」である。今回のツアーガイドとして、お世話になったシボンさんも同校の卒業生である。あまりにも見事な日本語を披露する彼女の母校を知りたいと思い、同校を訪問した。
同校はカンボジアの現地旅行手配専門会社として東京、プノンペン、シェムリアップに営業所があるJHCアンコールツアーセンターが母体である。同社の山本宗夫会長が私財を投じて1996年3月に設立したものだ。開校式にはフンセン首相も出席したということからも、注目の高さがうかがえる。シェムリアップへの日本人観光客の増加を見込んで、ガイド養成のため開校したそうだ。卒業生を旅行会社でガイドとして採用することを目的としており、そのためなんと、学費は無料である。設立から現在まで約900名の卒業生を輩出しているという。その多くが旅行会社やホテルなど観光業に進んでいる。
売れっ子ガイドを目指して
当日対応してくれたのは、1999年から日本語教員として勤務する、飯井敦子先生。授業の合間に、教室で話を聞くことができた。「今とは違い、学校周辺には本当に何もありませんでした」と赴任当時を振り返る。同校では現在、5カ月間の日本語学習後、母体である旅行会社の運営する土産物店、レストランでアルバイト研修を行いながら、その後1年間学ぶ。教員は日本人2名、カンボジア人2名の計4名、在校生は37名。2クラスに分かれ、平日は毎日5時間学んでいる。高校卒業が入学資格で、20代前半が中心である。当日、教室には数名の生徒が自習に励んでいた。
飯井先生が言うには、日本語学習熱のピークは2000年から2005年ぐらいで、近年は停滞気味であるとのこと。というのも、同じく観光ガイド養成のために、シェムリアップ市内には英語はもちろん韓国語や中国語の教室も登場し、日本語は押され気味だそうだ。首都プノンペンには日本企業が進出し、日本語ができる人材を求めている。しかし、同校へ入学を希望する生徒は日本企業への就職を望んでいるわけではない。それはシェムリアップには日本企業が少ないこと、そして何よりも観光の街であるからだ。売れっ子日本語ガイドともなれば、現地日本企業に入るよりも収入は多く、自由もある。そして、そのような成功を収めたガイドを実際、目の当たりにしているのだ。
現地にすっかり溶け込んだ山本日本語学校だが、課題も認識している。「今後のことを考えていかなければならない時期にあります。これまでは田舎の小さな学校で生徒とも家族のような付き合いをしてきました。一緒に過ごすことで、日本語に触れる。しかし時代は少しずつ変わってきて、生徒がドライになり始めています。大学に通う人やアルバイトをする人も出てきたので、いつも一緒とはいかない。ある意味、教育機関としての本来の機能を果たしていかなければならないと思っています」と飯井先生。
シェムリアップ観光の日本語ガイドに山本日本語学校あり。現地を訪れる日本人観光客には、ぜひ同校の存在を知っておいていただきたい。【東城 洋平】
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