2024年11月24日( 日 )

ビジネスチャンス掴んだ「アンコール・クッキー」~カンボジア視察ツアー(番外編・後)

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観光客のニーズに応える

angkorcookies3 ここの経営者は小島幸子氏。通称はMADAM SACHIKOである。1999年に日本語教師として、カンボジアへ移り住み、2004年に起業した。カンボジア定番のお土産というのがなかったことがきっかけだ。「民芸品は多数あるが、知人には配れない。配るためには個包装したお菓子がいいのではないか。」
 そうして、04年4月にカンボジアシェムリアップに「アンコールクッキーショップ」を開店。その後、現在地への店舗移転を経て、ショップに併設するカフェ「プカプカ」もオープン。09年8月には首都プノンペンにショップを開設。年商は1億円を超えるという。

 当日、小島氏は不在であったが、カンボジア人の店長に話を聞くことができた。見事な日本語で対応してくれた。クッキーを製造する工場はショップからほど近くにあり、現在は45名ほどが働いている。ショップには12名、そしてカフェには7名の従業員がいて、事務所を含めると全体では、90名ほどのカンボジア人を雇用している。新商品はカフェでも提供しており、直接顧客の声を聞き、それを製造・企画にフィードバックするという。当初は日本人観光客がメインだったが、現在は韓国や中国、香港やシンガポールからの観光客も増えているそうだ。また同氏を知る現地在住者によると、日本語を教えながらも、観光ビジネスへのアイデアをいつも考えていたという。「アンコールワットでおいしいコーヒーを提供してみては?」「土産物として、チョコレートはどうか?」など。クッキーは突然ひらめいたものではなかったようだ。

 12年8月には「HELLO KITTY」とのコラボクッキーの販売をスタートさせた。世界中で愛されるキャラクターを用いることで、日本人以外のターゲットも増やしていこうという狙いだろう。女性の多い会社であることから、子育て支援も充実している。育児休業に託児所の設置。また社員教育にも積極的で、パソコン教室や英語教室などを設け、社員が学べる環境を整えている。

次の10年に向かって 農業プロジェクトスタート

 起業から10年間をマンガ形式でまとめた小冊子に小島氏の思いがあふれている。その小冊子には次の10年に向けた新しい試みが記載されていた。シェムリアップで37ヘクタールの土地を確保し、農業の活性化を目指すというものだ。原材料を現地で調達し、クッキーを製造販売してきたこれまでのモデルを農業に生かす。いわゆる農業の6次産業化である。生産、加工、販売を通じて、村で生活しながら、農業で生計を立てることを目標に掲げている。まだ始まったばかりの計画であるが、これまで持ち前の実行力で切り開いてきた小島氏であれば、そのハードルも決して高いものではないだろう。小冊子の最後にはこうある。
 「焼きたての一枚のクッキーから世界中にたくさんの笑顔の花が咲きますように」と。

(了)
【東城 洋平】

▼関連リンク
・マダムサチコ・アンコールクッキー

<COMPANY INFORMATION>
MADAM SACHIKO ANGKOR COOKIES
設 立:2004年4月
代 表:小島 幸子
事業内容:お土産販売、飲食店経営、カンボジア食材卸売
本社所在地:On the main road to Angkor Wat, in front of Sofitel Hotel,
Siem Reap, Kingdom of CAMBODIA
TEL:(855)-(0)63-964-770/FAX:(855)-(0)63-965-975)

 
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